研究課題/領域番号 |
23K13548
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
橋國 克明 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (70907774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 熱電変換 / 熱電物性 / 硫化物 / スクッテルダイト / 局所構造 |
研究開始時の研究の概要 |
熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる熱電変換技術は,エネルギー利用効率を高める手段の一つである。本研究では,環境低負荷で低毒性な元素である硫黄を主成分とし,特徴的な結晶構造を持つCo2Ge3S3が高い熱電性能を示すことに着目し,その起源と考えられる局所構造の形状と熱電特性の関係を明らかにする。また,元素置換や元素充填がその局所構造をどのように変化させるのか調べる。得られた知見に加えて,キャリア濃度の最適化と格子熱伝導率の抑制を行い,熱電性能を最大化させる。
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研究実績の概要 |
熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる熱電変換技術は,エネルギー利用効率を高める手段の一つである。本研究では,環境低負荷で低毒性な元素である硫黄を主成分とし,特徴的な結晶構造を持つCo2Ge3S3が高い熱電性能を示すことに着目し,その起源と考えられる局所構造の形状と熱電特性の関係を明らかにする。本年度は,母相となるCo2Ge3S3の合成方法の確立と,その熱電物性評価を行った。また,局所構造の形状の変化を目的として,Geサイトに対するSi, Sn置換やSサイトに対するTe置換した試料の合成を目指した。結果として,下記の成果が得られた。
1. 粒状と粉末状のGe原料をそれぞれ出発原料としてCo2Ge3S3を合成した結果,熱電特性に大きな差が生じることが判った。具体的には,前者の電気伝導率は後者に比べて2桁程度高く,ゼーベック係数と熱伝導率にほとんど違いはなかった。この電気伝導率の違いは,移動度の違いに依ることを明らかにした。 2. 走査型電子顕微鏡により1で合成した試料の破断面を観察した結果,粒状のGe原料を出発原料として合成した試料では界面がほとんど見えなかったが,粉末状のGe原料を出発原料として合成した試料では界面がはっきりと見え,粒径が数μmと小さいことが判った。これらのことから,微細構造の差が移動度に大きな影響を与えたと考えられる。 3. Co2Ge3S3のGeサイトに対してSi, Sn置換を試みたが,大量の不純物が析出し合成できなかった。また,同様にSサイトに対してTe置換を試みたが,Co2Ge3S3とCo2Ge3Te3に完全に分離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,Co2Ge3S3が持つ局所構造であるGe2S2-ringの形状が熱電特性に与える影響を明らかにすることを目的とする。本年度は,母相であるCo2Ge3S3の合成条件を確立し,その熱電性能を評価した。また,申請者はGe2S2-ringのS-Ge-Sの角度はGeおよびSのイオン半径によって決まると予想しており,Geサイトに対するSi, Sn置換,Sサイトに対するTe置換を試みた。しかしながら,いずれの置換試料も合成できなかった。これらのことから,当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
従来手法ではCo2Ge3S3のGeサイトやSサイトを同族元素で置換できないことが判ったため,メカニカルアロイングなどの非平衡相の合成に向いた手法を用いて合成を試みる。また,Co2Ge3S3と同じ結晶構造であるCo2Ge3Se3やCo2Ge3Te3に対象を広げて,Geサイトの元素置換を試みる。得られた試料の結晶構造と熱電特性を調べ,Q-Ge-Q (Q = S, Se, Te)の角度と熱電特性の関係を調べる。
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