研究課題/領域番号 |
23K13554
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹内 魁 東北大学, 工学研究科, 助教 (20896716)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ウェハ接合 / 低温接合 / 微小流路 |
研究開始時の研究の概要 |
電子デバイス 3 次元集積実装には Si 基板同士の信頼性の高い接合が必要だが、微小流路ヒートシンクのように多量の水分が存在する環境では、応力腐食による接合強度低下や亀裂進展が問題となる。本研究では、常温接合技術に基づき接合界面に耐腐食性を付与することで、ヒートシンクやバイオセンサのための微小流路、水中MEMSセンサ等の実装技術の発展に寄与する。
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研究実績の概要 |
本研究では、常温接合技術に基づき、微小流路デバイス実装等への応用を目指した耐腐食性接合技術の開発を行っている。研究計画に則り、微小流路デバイス構造を模した環境である水中を含め、環境中の水分量の多寡を制御しながら接合強度測定を行う手法を開発しており、真空中、不活性ガス中、大気中、水中の4つの環境で接合強度が水分の影響を受けることを確認している。特に、広く用いられるSiウェハの親水化接合において、その効果が顕著であることを確認しており、開発する評価手法が定量的に応力腐食の影響を測定できる可能性が示唆される結果を得た。具体的には、水中等の水分の多い環境では接合強度が減少するが、微小流路構造を持つ場合は持たない場合と比較しより大きく水分の影響を受けることを発見した。微小流路構造の場合、接合界面と雰囲気が接触する領域が大きいためであると考えられる。これらの結果を元に、他の接合手法との比較を行いながら、対腐食性接合の評価手法を確立する。 また同時に、耐腐食性接合を達成する常温接合技術として、ポリシラザンのシリカ転化反応を介した常温ウェハ接合技術を新たに開発した。これは、水分と反応してSiO2に転化するポリシラザンを接合界面に用いることで常温ウェハ接合を達成する技術であり、水分によって接合界面が形成されることから、接合界面へ耐腐食を付与する新たな接合技術である。開発した接合手法により、常温プロセスであっても信頼性の高い接合界面を形成することに成功した。上述の腐食性評価手法を用いて、開発した接合技術の対腐食性を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、1)接合界面での腐食の定量的評価手法の開発、2)耐腐食性接合技術の開発、3)微小流路の封止実装への応用の3点を挙げた。1)については、真空中、不活性ガス中、大気中、水中の4つの環境でウェハ接合強度を測定する手法を開発して、現在その定量的分析を行なっている。これにより、接合界面における水腐食の影響が定量化されつつある。また、2)耐腐食性接合技術の開発については、水分による接合界面形成を原理とする新たな接合手法を開発した。これは、接合界面にポリシラザンを用いることで、環境中の水分とポリシラザンの反応によりSiO2接合界面を形成する手法であり、通常は腐食の原因となる水分を接合界面形成に利用する手法である。これにより、通常では腐食が発生する条件であっても、信頼性の高い接合強度を維持することが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、1)接合界面での腐食の定量的評価手法の開発と2)耐腐食性接合技術の開発については一定の進展を得た。今後の方策としては、1)接合界面での腐食の定量的評価手法の開発について、親水化接合、ポリシラザン常温接合、および表面活性化常温接合の3種類の接合手法を主として、開発した評価手法を適応し、それぞれの接合手法における腐食の影響を定量化する。2)耐腐食性接合技術の開発については、新たに開発した接合手法に加え、従来の常温接合技術を修正することで耐腐食性接合技術の開発をさらに進める。3)微小流路の封止実装への応用については、上述の結果を検討し、最適な接合手法を用いて行う。
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