研究課題/領域番号 |
23K13555
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リン酸八カルシウム / リン酸カルシウム微粒子 / 結晶性 / 化学環境調節 / 骨補填材 / リン酸カルシウム / 生体吸収性高分子 / 骨置換性 / 有機-無機複合材料 |
研究開始時の研究の概要 |
加水分解反応の進行により,リン酸八カルシウム(OCP)は骨置換性,生分解性合成高分子は生体吸収性を示す.これまでに,OCPの骨再生材料としての成形性や操作性の改善のため,合成高分子との複合化が検討されている.しかし,複合材料の骨置換性強化には,OCPのさらなる骨再生能向上と合成高分子の分解速度に起因した骨形成阻害の回避が課題である.本研究では,複合材料の加水分解反応の自発的促進による骨置換性強化の可能性を検討し,OCPによる骨再生促進とそれに調和した合成高分子の吸収の両立を試みる.周囲の化学環境改変を介して加水分解の自発的促進を誘起可能な複合体の構造・組成を探索し,骨置換性発現との関係を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では, 無機粒子を修飾した生体用合成高分子により,共存するリン酸八カルシウム(OCP)周囲の化学環境を調節することで,これら材料間で生じる相互の加水分解の速度を調節し,OCP/生体用高分子複合材料の骨伝導性と生体吸収性の強化の可能性を検討することを目的とする。本年度は,生体用合成高分子に修飾するリン酸カルシウム微粒子を合成し,その組成と結晶性がOCPの加水分解に及ぼす影響を検討した。 非晶質のリン酸カルシウムを水溶液中で合成し,更に,これを用いて結晶性の異なる微粒子を調製した。また,OCPの加水分解促進因子であるフッ化物イオンを含有させた結晶性の異なるリン酸カルシウム微粒子も作製した。X線回折や透過型電子顕微鏡観察下の制限視野電子回折により,フッ化物イオンの添加の有無によらず合成された微粒子が非晶質であることが確認された。これら微粒子の水溶液中での処理条件に応じ,リン酸カルシウムの結晶性が変化する傾向にあった。また,フッ化物イオン選択性電極を用い,結晶化前後の微粒子中のフッ化物イオン量を測定した。その結果,結晶化の処理前後によらず微粒子に添加したフッ化物イオンが微粒子中に含有されていることが示された。 生理的環境を模倣した溶液中において,OCPとリン酸カルシウム微粒子を非接触状態で共存させ,OCPの加水分解挙動を評価した。溶液浸漬前後のOCPの化学構造を分析した結果,共存するリン酸カルシウム微粒子の結晶性および組成によりOCPの加水分解速度が調節される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
無機イオン供給源となるリン酸カルシウム微粒子の合成において,導入した微量のフッ化物イオンの含有量の測定方法の検討に想定以上に時間を要し,合成高分子へのリン酸カルシウム微粒子の修飾や,複合材料の分解挙動等の解析に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
生体用合成高分子へのリン酸カルシウム微粒子の修飾プロセスを検討するとともに,その高分子とOCPの複合体の生理的環境下における溶解・分解挙動の評価を計画している。さらに,リン酸カルシウム微粒子を修飾した高分子とOCP共存下での細胞応答性の解析も予定している。
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