研究課題/領域番号 |
23K13560
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
西野 智雄 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60824878)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 層間架橋粘土 / ポルフィリン / 無機層状化合物 / ナノ空間材料 / 有機ー無機ハイブリッド / 層状化合物 / 金属錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
粘土化合物は負に帯電したナノシートと交換可能カチオンの交互積層構造を有しており、重金属イオンやカチオン性分子の吸着剤としての研究が基礎・応用の双方の観点から幅広くなされている。また、粘度層間への無電荷の有機分子の吸着を指向して、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩による修飾を用いたナノ空間材料の構築がなされてきた。しかし、粘土化合物を用いて、分子レベルで制御された空間をデザイン通りに構築することは未だに困難である。本研究では、精密な分子設計に基づき粘土化合物の層間に、被吸着分子に合わせたデザイン通りの空間を生み出す方法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、精密な分子設計に基づき粘土化合物の層間にデザイン通りの空間を生み出す方法論を見いだすことを目的とする。本目的を達成するために、ナノシートを面で支持可能なピラー分子を用いて層間架橋粘土を構築し、その内部空間を事後修飾することでサイズや内部環境が緻密に制御された新奇多孔質物質の創出を行う。 2023年度は、粘土ナノシート間を架橋するピラー分子の設計・合成を行った。当初、ピラー分子として計画していた、ポルフィリンやフタロシアニンがランタノイドイオンをサンドイッチするように積層したマルチデッカー錯体型ピラーの合成を検討したが、粘土ナノシートとの接合部位となるカチオンユニットの導入において化合物の分解が生じ、目的物の単離には至らなかった。そのため、分子設計を一部変更し、粘土ナノシートとの接合部位が共有結合により連結されたピラー分子を新たに設計・合成した。ガラス基板上に作成した粘土化合物の薄膜を得られたピラー分子の溶液に浸漬し、複合化を行ったところ、薄膜にピラー分子由来の明確な着色が確認されたことから、ピラー分子のナノシート層間へのインターカレートにより、複合体を形成したことが示唆された。 2024年度は、複合体の詳細な構造解析を進めると共に、内部空間の事後修飾を行うことで、ナノシート層間に被吸着分子に対して選択性を持つナノ空間の構築ならびにその評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、粘土ナノシートの層間にインターカレートし、層間を架橋するピラー分子の設計・合成を行った。当初に計画していた積層型錯体を用いたピラー分子の合成は、錯体の分解により完遂できなかった。しかし、新たに設計した、ナノシートとの接合部位が共有結合で連結されたピラー分子の合成に着手し、その合成を達成した。合成したピラー分子を粘土化合物の薄膜に作用させたところ、複合体の形成を示唆する結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ピラー分子の構造が層間にインターカレートした際の層間距離や、層間での分子構造に及ぼす影響について詳細に検討を行うとともに、層間の環境修飾ユニットの合成を行う。そのうえで、逐次的な粘土ナノシートの修飾を行い、ナノシート層間に被吸着分子に対して選択性を持つナノ空間の構築ならびにその評価を行う。
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