研究課題/領域番号 |
23K13562
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒川 成貴 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (50837333)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 高分子 / プラスチック / 抗血栓性 / 透明性 / 成型性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,血小板凝集試験用マイクロ流体デバイスの素材として応用可能な,高透明性と熱可塑性を有する血液適合性プラスチックの開発を目指す.上記目的を達成するため,血液適合性官能基を有するノルボルネンモノマーの合成,開環メタセシス重合 (ROMP) による合成したモノマーの重合,材料表面のみの水和構造形成による血液適合性の発現とバルク物性の維持の3項目を実現し,①熱成形が可能なガラス転移温度,②85%以上の可視光透過率,③実用化されている血液適合性ポリマーと同程度の抗血栓性を実現した,熱可塑性と高透明性を有する血液適合性プラスチック材料を開発することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では,血液試験用マイクロ流体デバイスの素材として応用可能な,透明性と熱可塑性を有する血液適合性プラスチック材料の開発を目指す.血液適合性ポリマーとして現在利用されているPoly(2-methoxyethyl acrylate)(PMEA)は,側鎖のメトキシエチル基における特異な水和構造(中間水)の形成により優れた血液適合性を発現することが知られている.一方,PMEAはガラス転移点を-40℃程度に有する液状のポリマーであるため,固体材料として用いることができない.また,透明性および成形性のあるプラスチック材料として利用可能な抗血栓性ポリマーはこれまで報告されたことがない.我々は,剛直な主鎖骨格となるポリノルボルネンの側鎖にPMEA側鎖と類似する血液適合性官能基を導入し,成型性・透明性を有し,優れた血液適合性を示すプラスチック材料の開発を目指す. 当該年度においては,血液適合性官能基を側鎖に有するノルボルネンモノマーの合成,および開環メタセシス重合(ROMP)によるポリマー化に取り組んだ.具体的には,cis-5-Norbornene-exo-2,3-dicarboxylic Anhydrideを原料として,加水分解によりcis-5-Norbornene-exo-2,3-dicarboxylic acidを得て,その後縮合反応によりメトキシエチル基を導入することで目的とするノルボルネンモノマーを合成した.次に,Grubbs触媒を用いたROMPにより得られたモノマーを重合し,血液適合性官能基であるメトキシエチル基を側鎖に有するポリノルボルネンを合成した.また,重合反応に用いた触媒の除去方法も確立している.一方,得られたポリマーは高い透明性を有するものの,ガラス転移点が低く液状のポリマーであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,剛直な主鎖骨格となるポリノルボルネンの側鎖に血液適合性官能基を導入し,血液試験用マイクロ流体デバイスの素材として応用可能な,透明性と熱可塑性を有する血液適合性プラスチック材料の開発を目指している.これまで,モノマーの合成,ROMPによる重合反応を通して当初計画していたポリマーの合成,およびROMPで使用した金属触媒の除去方法の確立を達成した.一方,得られたポリマーのガラス転移点が低く液状のポリマーとして得られているため,ガラス転移点向上のために新たな分子設計を必要とする.ガラス転移点が低い主な要因としては側鎖長が長いことが考えられるため,血液適合性をさらに短い側鎖長により実現する設計を検討する. 計画当初の分子設計を変更する必要はあるものの,重合方法ならびに触媒除去を含めた精製方法の確立ができており,進捗状況としておおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度において合成されたメトキシエチル基を側鎖に有するポリノルボルネンは,低いガラス転移点により液状のポリマーとして得られたため,プラスチック材料として利用することが難しい.ガラス転移点が低い主な要因としては,側鎖長が長いことが考えられる.そのため,さらに側鎖長を短くしながら血液適合性を実現する新たな分子設計が必要である. これまでに合成したポリノルボルネンのモノマーは,cis-5-Norbornene-exo-2,3-dicarboxylic acidと2-methoxyethanolの縮合反応により得ていた.そのため,主鎖と側鎖をエステル基で結合させる分子設計となっていた.今後の研究方針としては,水和構造形成するメトキシ基をエステル結合を介さずに側鎖に導入したポリノルボルネンの合成を試みる.具体的には,cis-5-Norbornene-exo-2,3-dicarboxylic Anhydrideを原料としてLAH還元によりcis-5-Norbornene-exo-2,3-dimethanolを合成し,水素化ナトリウム等を利用したSN2反応により水酸基をメトキシ基にすることで目的とするノルボルネンモノマーの合成を試みる.このモノマーを用いて当該年度に確立した重合および精製方法により目的とするポリマーを得る.熱特性は示差走査熱量測定(DSC)によりガラス転移点を測定し,常温で固体となるプラスチック材料として利用可能であるかを評価し,また透明性を紫外可視分光法,水和構造をDSCおよびフーリエ変換赤外分光法,血液適合性を血小板付着試験により評価し,血液適合性・高透明性・熱可塑性を有するプラスチック材料として利用可能か検証する.
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