研究課題/領域番号 |
23K13563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黄 錫永 京都大学, 工学研究科, 特定助教 (90910927)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高Mn鋼 / PLC効果 / Dynamic Strain Aging 効果 / デジタル画像相関(DIC)法 / Deformation localization / In-situ synchrotron XRD / In-situ TEM / Work hardening |
研究開始時の研究の概要 |
一部の高Mn鋼では、その応力-ひずみ曲線上にセレーション挙動と呼ばれる鋸歯状の応力変動が見られ、加工硬化能をさらに向上させることが報告された。セレーション挙動は、変形中に可動転位と溶質原子の動的な相互作用によって生じると知られている。しかし、高Mn鋼においては、通常の転位すべりに加えて面欠陥も形成するので、セレーション挙動の発生機構は不明である。本研究では、デジタル画像相関法による局所変形の定量化、および引張試験中その場TEM観察と3次元アトムプローブを通じて、マクロからナノスケールまでのあらゆるスケールで解析を行い、高Mn鋼におけるセレーション挙動とそれに伴う加工硬化現象の素過程を理解する。
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研究実績の概要 |
高Mn鋼は、非常に加工硬化能が高く、高強度と高延性の両方を兼ね備えており、次世代構造用金属材料として注目されている。一方、一部の高Mn鋼では、その引張挙動を示す応力-ひずみ曲線上にセレーションと呼ばれる鋸歯状の応力振動が見られ、さらに加工硬化能を向上させることが知られている。しかしながら、セレーションに関する研究においては、ミクロな現象とマクロな現象の理解が進まなかったため、そのメカニズムは不明だった。 本研究では、引張変形中Portevin-le Chatelier(PLC)バンドとして特徴付けられるマクロ不均一変形帯の力学特性への役割を明らかにした上で、可動転位と溶質原子の相互作用というミクロスケールの解析を行い、セレーションの本質をあらゆるスケールで解明した。引張試験中にその場中性子回折とデジタル画像相関(DIC:Digital Image Correlation)法を併用しながら実施し、PLCバンドの通過に伴なう加工硬化の素過程を理解した。試験片平行部中の一点に中性子ビームを照射し、観察領域における欠陥密度の変化、局所応力を定量的に評価し、PLCバンドの通過と同期させて解析を行うことで、PLCバンドの連続的な伝播に伴なう局所応力の変化と、試験片全体の加工硬化の進行を結びつけて理解した。 また、引張試験中にDIC法と放射光X線回折を同時に用いて、PLCバンドの内外の局所ひずみ速度分布および転位密度を定量化した。PLCバンドの外側における転位速度は、可動転位が炭素に固着されたため遅い転位速度を示した。一方、PLCバンドの中側では、炭素の固着から転位が離脱したため、速い転位速度を示した。つまり、PLCバンドの位置を考慮した局所的なPLC効果(またはDSA効果)の解析ができた。 現在、上記の結果は、ジャーナル紙に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載されている通り、実験は順調に進行中であり、論文の投稿も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の2つの論文投稿作業を完了し、引張試験中その場TEM観察を通じて変形組織をリアルタイムで観察し、PLCバンドの伝播による転位速度と転位・面欠陥の密度の変化を定量化する。これらと、Fe-22Mn-0.6C鋼における炭素の拡散速度を比較することで、PLCバンディングとDSA効果の関連性を理解する。転位論によると、巨視的塑性ひずみは、転位密度と転位が動いた距離、および双晶変形によるせん断ひずみなどと結びつけられるので、組織観察で求めた塑性ひずみと、DIC法で測定したPLCバンド内のひずみを比較し、その妥当性を検証する。
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