研究課題/領域番号 |
23K13565
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
蔡 尚佑 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 准教授 (20850879)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | oxygen catalyst / bifunctional catalyst / Lithium-air battery / 低白金・非白金触媒 / リチウム空気電池 / 酸素還元反触媒 / ソリューションプ ラズマ / グラフェン |
研究開始時の研究の概要 |
リチウム空気電池を高性能化するには優れた酸素還元反(ORR)触媒材料の開発が必要不可欠である。既存の金属空気電池では、ORR活性は白金が最も優れていますが、耐久性に乏しく、価格が高いという欠点を有する。この課題を解決するため、ソリューションプラズマ(SP)を用いることで、従来の原子状窒素のドープではなくカチオニック窒素ドープグラフェン(CNDG)の合成を世界で始めて実現する。本研究では、申請者が開発したCNDGを、優れた触媒能を有する遷移金属系バイメタルコア粒子に被覆するためのSP技術を開発し、優れたORR活性と高い化学的安定性を兼ね備えたコアシェル構造の触媒材料を創出することを目的とする。
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研究実績の概要 |
低白金および非白金触媒を用いた空気電池の電極適用のためのCo-Sn系(水)酸化物ナノ粒子の複合触媒材料の合成技術の開発 高性能リチウム空気電池を実現するためには、酸素の酸化還元反応を促進する触媒物質の開発が必要である。 ペロブスカイト型酸化物および水酸化物は、酸素発生反応(OER)を加速するための触媒物質として知られている。 CoSn(OH)6(CSO)は、OERの有望な触媒であるペロブスカイト型水酸化物です。 SPを利用すればCSOを20分で合成することができる。 XRDの結果、前駆体溶液のpHを10-12以上に調整すると結晶性の高いCOSを合成できることがわかった。 OER用に合成されたCSOの触媒特性は、電気化学的方法を使用して評価した。 CSO_pH12spサンプルは、10mA/cm2での過電位およびTafel勾配はそれぞれ350mVおよび69.58mVと推定された。 CSO_pH12spサンプルは、合成されたすべてのサンプルの中で最も優れた触媒特性を示し、触媒特性は市販のRuO2の触媒特性より優れていた。 電流密度が10mA/cm2に達したとき、CSO_pH12spの電位は最も低く、市販のRuO2vs. RHEより104 mV低かった。 光放出分光法の結果からプラズマ内で形成される活性種を同定し、活性種に基づいてCSO合成メカニズムを議論した。この触媒は、将来の実用的な金属空気電池アプリケーションのための有望なペロブスカイト型水酸化物の電気触媒の設計と構成に関するいくつかの新しいアイデアを提供する。本技術はリチウム空気電池性能向上のための非常に重要な技術であり、Sustainable Energy and Fuels (2023, 7, 2582-2593)で論文が採択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
N、Pをドープした少数層グラフェンカプセル化Ptベースのバイメタルナノ粒子は、ソリューションプラズマ(SP)法によって首尾よく合成した。 この合成戦略は、室温および大気圧で純粋なN-メチル-2-ピロリドンおよびフェニルホスホン酸のみを反応溶液として使用してワンポットで達成することができる。 構造分析では、PtおよびPtベースのバイメタルナノ粒子をコアに有し、N、Pドープした疎水層グラフェン(NFG)をシェルとして有する微細なコア-シェル構造のナノ粒子(2-4nm)を示した。Ptベースのバイメタルコア(すなわち、PtNi、PtCoおよびPtAg)は、SPプロセスに使用される金属電極に従って各触媒を合成した。 合成したサンプルの最も優れたORR開始電位、転移電子数、限界電流密度はそれぞれ0.962、3.92、-8.01mA/cm2であることが分かった。 NPG@PtCoはORRとOER間の電位差で0.67Vの高い二重機能触媒活性を与えた。アルカリ溶液で合成したPtCoサンプルは、酸素還元反応(ORR)と酸素発生反応(OER)に対する触媒活性は、商用Pt/C20wt%とRuO2に比べて優れた触媒活性と耐久性を有し、触媒として使用するのに十分な特性を有することを確認した。効果的なORR活性は、Ptベースのバイメタルコアと大量のピリジニック-Nおよび4次Nを含むNドープグラフェンシェルの相乗効果に起因すると判断される。 本研究では、優れた電気触媒活性と高い耐久性を備えた潜在的な代替ORR-OER二重機能触媒を提案しただけでなく、SPプロセスによる化学物質の使用が少ない炭素ベースのコアシェルナノ構造材料の容易な合成に関するガイドライン を提供する。
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今後の研究の推進方策 |
バイメタルコア - シェル構造のグラフェン触媒の合成プロセスの条件を確立するとともに、コア - シェル構造の特性の測定・解析を実施する。我々はこの結果に基づいて、Ptの使用量を最小限に抑えると同時に、Ptフリーを目指した新しい組み合わせのバイメタルコアシェル材料を探索・デザインする。 また、コアシェル構造制御と機能化を介して、触媒特性の改善を進める。コアシェル構造制御により機能化された触媒のCV特性を評価し、ECSA(活性表面積)において高価な白金の1/50以上の触媒特性の発現を目指す。また、この触媒を用いてリチウム空気電池を実際に作製し、電池特性を評価する。触媒性能の指標としては、市販の20wt.%-Pt/Cより優れたORR性能値として、ORR開始電位を0.9V以上、反応電子数を3.5以上、ORR限界電流密度を-7mA/cm2@0.5V以上を目標値に設定したが最終的にORR開始電位を0.93V以上、反応電子数を3.80以上、ORR限界電流密度を-8mA/cm2@0.5V以上を目指し、プロセス条件と触媒特性の相関を検討し・明らかにする。
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