研究課題/領域番号 |
23K13571
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 宏輝 東北大学, 工学研究科, 助教 (20869648)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | コールドスプレー法 / 固相接合 / 異種材料 / 多粒子衝突 / 微粒子衝突 |
研究開始時の研究の概要 |
限りある資源の中で異なる機能をもつ材料を適切に組み合わせ,高機能・多機能な材料部材を開発するためには,低エネルギーで多様な異種材料による固相接合を実現する技術が不可欠である.本研究では,そのポテンシャルをもつ固相接合成膜技術であるコールドスプレー法を対象として,皮膜形成初期および積層期に要求される固相粒子衝突条件とその成膜メカニズムを,多粒子の衝突現象の体系化を通じて明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
限りある資源の中で異なる機能をもつ材料を適切に組み合わせ,高機能・多機能な材料部材を開発するためには,低エネルギーで多様な異種材料による固相接合を実現する技術が不可欠である.コールドスプレー(CS)法は固相金属粒子の衝突のみによって皮膜・堆積物を作製することができ,近年金属・セラミックス・ポリマーなどの異種材料の組み合わせによる成膜が可能になってきている.本研究では,粒子の衝突エネルギーや衝突頻度に着目し,接合に適した衝突条件を明らかにすることで,多様な異種材料の接合を実現する先進的なCS技術を確立することを目的としている.2023年度はCS成膜が困難な材料の組み合わせである炭素繊維複合材料(CFRP)への金属成膜を対象として,成膜に適した衝突条件を検討した.金属粒子径やガス温度を変更した成膜実験とCFD解析による衝突エネルギー評価より,CFRP基材の過剰なエロージョンを生じない衝突エネルギー範囲の選択が極めて重要であることを明らかにした.具体的には,基材のエロージョンの程度は粒子衝突エネルギーに加えて,粒子の力学的特性および基材表面温度に大きく依存し,これらのパラメータにより成膜可能な条件を整理できることを示した.一連の検討を通じて,CFRP上への金属成膜に適した粒子衝突条件の選択指針が得られた.一方で皮膜の形成過程において,CFRP上への金属粒子衝突による異種材接合と,形成された金属層上への後続粒子の積層では適した衝突条件が異なることが示唆された.この点に関しては,異種材界面の接合および同種金属材料の堆積に及ぼす粒子衝突エネルギー分布や衝突頻度の影響を明らかにすることが重要であり,これらのパラメータを計測可能な粒子衝突観測システムの開発を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の目的である皮膜形成初期および皮膜積層期に要求される固相粒子衝突条件の解明に対して,初年度は炭素繊維複合材料(CFRP)上への金属成膜を主な対象として成膜メカニズムの大枠を明らかにできた.一方で,より広範な材料の組み合わせに対して成膜メカニズムの解明に寄与する粒子衝突観測システムの開発は,衝突位置と衝突頻度の高精度な測定に当初予定より時間を要しており,やや遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
粒子の衝突エネルギー,衝突位置,衝突頻度を計測できるシステムの開発を進め,粒子の衝突挙動と接合に至る条件,および形成される皮膜ミクロ構造との相関を明らかにする.粒子衝突位置および衝突頻度について,開発中のシステムで計測が難しい場合には,高速度カメラによる可視化から評価することを試みる.粒子の接合挙動および皮膜のミクロ構造を電子顕微鏡により観察・分析し,衝突条件を変更して比較評価する.これらの結果に基づき,多粒子衝突の観点から皮膜形成初期および皮膜積層期に要求される固相粒子衝突条件とその成膜メカニズムを明らかにする.
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