研究課題/領域番号 |
23K13580
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
衣 立夫 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (00879695)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | アルミ/黒鉛複合材料 / 組織 / 界面 / 熱伝導率 / 熱膨張係数 / 熱間押出し / アルミ基複合材料 / 黒鉛 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、CPUをはじめとした半導体素子の高出力化・高集積化・高速化が進んでおり、高熱伝導率と低熱膨張係数を兼ね備えた放熱材料が求められている。本研究では、天然黒鉛とAl粉末を出発原料として用い、世界で初めて熱間押出し加工を利用してAl/黒鉛混合粉末の緻密化と成形を同時に実現する。熱間押出しにおけるせん断変形によって、黒鉛を押出し方向に配向させるとともに、高密度のキンクを導入し、高熱伝導率・低熱膨張係数を兼ね備えたミルフィーユ構造のAl/黒鉛複合材料の創製を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、高熱伝導率・低熱膨張係数を兼ね備えた軽量な放熱材料を開発するために、天然黒鉛とアルミを出発原料として用い、世界で初めて熱間押出し加工によりアルミ/黒鉛複合材料を創製する。本年度は、黒鉛粉末とアルミ粉末の混合粉末を用いて押出し加工によりアルミ/黒鉛複合材料を作製し、Al/黒鉛複合材料の押出し挙動や熱的・機械的性質に及ぼす原料粉末の粒径、黒鉛の添加量、Al-Si合金添加量およびSi含有量、押出し加工パラメータの影響を調べた。得られた成果を以下に示す。 1. 黒鉛を40vol%添加しても相対密度98%の高緻密な複合材料を得られた。最適な黒鉛粒径、アルミ粒径、Al-Si合金添加量、押出し温度はそれぞれ250μm、30μm、9vol%、450°Cであることが分かった。 2. XRDの結果に基づいて算出した黒鉛の基底面の平均面間隔の結果から、押出し後は押出し前より平均面間隔が小さくなっていることが確認された。これは変形した黒鉛の内部ひずみと強いAl/Si/黒鉛界面接合によるものだと考えられる。 3. 同じ添加量のAl-12Si合金とAl-5Si合金を添加した場合、Al-5Si合金を添加した複合材料の熱伝導率がより高い値を示している。これはSi含有量が減ることで、フォノンの散乱も低減すると考えられる。 4. 少量な炭素繊維を添加することにより、アルミ/黒鉛複合材料の熱伝導率の向上と熱膨張係数の低下に促進する効果が発見された。これは熱のチャンネルの形成とアルミ/炭素の接触面の増加にそれぞれ起因すると思われる。 5. 熱間押出し成形したアルミ/黒鉛複合材料は従来材より優れた熱的・機械的性質を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、世界初で熱間押出し加工を用いてアルミ/黒鉛複合材料を作製した。本年度では、最適な黒鉛粒径、黒鉛添加量、アルミ粒径、Al-Si合金添加量、押出し温度を明らかにした。また、少量な炭素繊維をアルミ/黒鉛複合材料に添加することで、さらに優れた熱的・機械的性質を得られた。その結果、従来材よりよい性能を示した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を踏まえ、今後はアルミ/黒鉛/炭素繊維ハイブリッド複合材料を中心として開発していくと考えている。まず、最適な炭素繊維添加量、Al-Si合金添加量、押出し温度など加工パラメータを実験に通して解明する。その結果を基づいて機械学習で最適加工パラメータをさらに予測し、再度実験により予測された最適加工パラメータの有効性を検証し、緻密・健全かつ優れた熱的・機械的性質を有するアルミ/黒鉛/炭素繊維ハイブリッド複合材料の性能向上の指針を提案する。
|