研究課題/領域番号 |
23K13582
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
川崎 翔大 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, NIMSポスドク研究員 (40825949)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 真空紫外光 / 表面処理 / 異材接合 / 溶着 / 界面 / 接着接合 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、リサイクル性と成形性に優れ、溶着接合が可能な熱可塑性複合材料(FRTP)が注目されている。熱可塑性樹脂は一般的に、化学的に安定性であるがゆえに難接着性であり、FRTP/金属の組み合わせで溶着する場合に界面接合強度が低いことが問題となる。 本研究では、高強度なFRTP/金属界面の形成を実現することを目的として、①真空紫外光の照射実験と表面の分析、②FRTP/金属間の接合メカニズムの解明、③製作した異種材料間溶着継手の接合強度評価を行う。真空紫外光の照射実験表面の分析、接着継手の力学的・材料科学的な評価解析を実施することで、接着強さに及ぼす表面改質効果の予測モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
近年、リサイクル性と成形性に優れ、溶着接合が可能な熱可塑性複合材料(FRTP)が注目されているが、FRTPは一般的に難接着性であるため、FRTP/金属の組み合わせで接合することが難しいことが課題となっている。本研究では、FRTPと金属間を溶着する場合の界面強度を向上させるための表面改質技術の開発を目的としている。 今年度は当初計画していた通り、FRTPへの真空紫外光による表面処理実験を実施した。表面処理の対象としては、樹脂材料として炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド複合材料や炭素繊維強化ポリイミド複合材料とし、表面処理の改質効果をXPSにより調べた。また、ステンレスや銅材に対しても同様に照射実験を行い、接触角試験により処理前後の濡れ性の変化を調べた。加えて、溶着技術として超音波溶着技術のプロセス開発に取り組み、超音波溶着条件が溶着品質に及ぼす影響を調べた。サーモグラフィカメラにより溶着継手に対して継手側面の温度分布の観察を行いながら溶着することで、溶着時の温度分布が溶着品質に与える影響を調べた。その結果、ホーン振幅が溶着継手厚み方向の温度分布に大きな影響を与えることを明らかにし、その温度分布の評価手法として半値幅法の適用が有効であることを確認した。以上により、順調に研究が進展していると判断する。 今後は、表面処理後の表面分析をより詳細に行うことに加えて、異種材料の溶着試験後の強度評価も実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り、熱可塑性複合材料への真空紫外光による表面処理実験を完了した。また、溶着技術として超音波溶着技術のプロセス開発に取り組み、超音波溶着の条件が溶着品質に及ぼす影響の評価を実施した。溶着条件が溶着品質に与える影響を調べるため、サーモグラフィカメラにより溶着時の被着体の温度分布を計測し、溶着時の温度分布が溶着品質に与える影響を詳細に分析した。以上により、順調に研究が進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ランプ照射後のFRTPおよび金属表面に対して、X線光電子分析(XPS)、赤外分光分析(FT-IR)等によって官能基分析を実施し、表面官能基の形成に及ぶす真空紫外光照射効果および活性酸素の影響について明らかにする。また表面処理後の表面形状の変化を調べるため、原子間力顕微鏡法(AFM)による表面形状の観察を行う。さらに、溶着継手の強度試験を実施し、表面処理条件が溶着継手の強度に与える影響を実験的に検証する。
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