研究課題/領域番号 |
23K13620
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡崎 豊 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20794465)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 直線偏光発光 / 遷移双極子モーメント / 秩序構造 / 配列制御 |
研究開始時の研究の概要 |
直線偏光発光(LPL)材料は、ディスプレイや偽造防止印刷など様々な分野において次世代光源として注目を集めている。一般的にLPL材料は、発光過程の直線偏光度(PLP-lum)が高い材料ほど、光吸収過程の直線偏光度(PLP-abs)も大きくなる。そのため、太陽光などの非偏光を入射光源とした場合、最大50%(モーメントが揃った成分のみ)しか励起光成分として活用できず、PLP-absに基づく光エネルギー利用割合とPLP-lumの間のトレードオフ関係が、解決し難い課題となっている。 本研究では、新規ナノ秩序構造の構築により、非偏光を吸収し直線偏光を発光する分子系LPL材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は当初の計画通り、LPLフィルムの作製や各種光学特性(紫外可視吸収スペクトル、発光スペクトル、励起スペクトル等)評価などの実験科学的手法に加えて、基底状態の構造最適化や光吸収過程の遷移双極子モーメント調査などの計算科学的手法を並行して研究を進めた。具体的には、発光性ポリマーとしてMEH-PPVを用いて作製したLPLフィルムにおいては、第二吸収帯における光吸収過程の偏光度が、第一吸収帯における発光過程の偏光度よりも低いことや、第二吸収帯から第一吸収帯へと励起エネルギー移動が起きていることを明らかにした。さらに、計画を実施する中で、当初の想定とは異なる例「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例」が存在することを偶然発見した。 外部への研究報告については、学術論文5報および国内外の学会発表16件にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、本研究の目的である「第二吸収帯を活用した光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立を実現すること」に対して、当初計画していた項目は概ね達成した。 加えて、計画を実施する中で、「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例が存在すること」を偶然発見するという、当初の予定を上回る結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の研究計画に従い、作製したLPLフィルム中の発光性ポリマーが示す各光吸収帯における遷移双極子モーメントの配向度について、詳細評価を行う。また、本年度の研究を通して明らかになりはじめた「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例」について、新たなモデルを提案し詳細調査を並行して進める。
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