研究課題/領域番号 |
23K13641
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
柳 瑶美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 博士研究員 (90911280)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 量子センサ / NVセンター / ナノダイヤモンド / 1分子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内の生命現象の中には、極めて少数の分子しか関与しないにもかかわらず、ロバストかつ効率的に起こる現象が数多く存在する。この様な現象を解析するために1分子蛍光イメージング技術が進歩してきた。ただし、このために使われる蛍光分子は数分程度の観察が限界であり、更に細胞中には自家蛍光を発する無数の夾雑分子が存在するため、その様な少数分子によって担われる生命現象の解析は一般に困難である。本研究では光学的に極めて安定な蛍光ナノダイヤモンドを分子標識剤として活用し、スピン操作による選択蛍光イメージング技術を併用することで、細胞内少数分子の1分子動態解析基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
研究の目的を達成するために、(1)極小蛍光ナノダイヤモンドによる細胞内タンパク質の特異的in situ標識の実現、(2)極小蛍光ナノダイヤモンド標識タンパク 質のバックグラウンドフリー1分子イメージングの実現、(3)カイニン酸刺激時のラット海馬におけるAMPA受容体動態解析の実証の3項目の達成を目指す。 このために、1年目は特に下記の研究・開発を実施した。 (1) 大気酸化条件と熱混酸処理条件を検討し、これを超分岐ポリグリセロールコーティングすることで、30 nm以下の高分散蛍光ナノダイヤモンドを取得した。この際に、前処理として行うホモジナイズの条件が最終的に得られるナノダイヤモンドの粒径分布に影響をあ与えることを確認し、その最適化も行った。更に、タンパク質とのクロスリンク法についても検討を行った。これにより、一般的に用いられるNHS/EDCのクロスリンクよりも非特異吸着が抑えられたタンパク質修飾ナノダイヤモンドを得ることに成功した。 (2) CW-ODMR法、レーザーパルス法、πパルス法の3種類についてバックグラウンドフリーイメージングを行うためのパルス系列の設計も行い、コントラストの比較を開始した。また、生細胞上でのバックグラウンドフリーイメージングの性能の検証も開始した。また、FPGAなどを用いない簡便なシステムによりビデオレートのバックグラウンドフリーイメージングを実現するためのデバイス設計も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたタンパク質修飾ナノダイヤモンドの取得、CW-ODMR法、レーザーパルス法、πパルス法の3種類についてバックグラウンドフリーイメージングを行うためのパルス系列の設計、コントラストの比較の開始、および生細胞上でのバックグラウンドフリーイメージングの性能の検証の開始まで到達できたことから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ラット海馬などのモデル系におけるAMPA受容体動態解析の実証を実現するために、前年度の研究実績に基づいて、特異的in situ標識およびバックグラウンドフリーイメージングの最適化・高速化を実現する。このために、CW-ODMR法、レーザーパルス法、πパルス法の3種類のバックグラウンドフリーイメージングにおいてコントラスト比較を完了し、これを培養細胞系およびラット海馬などのモデル系に適用する。
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