研究課題/領域番号 |
23K13655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土肥 昂尭 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (20972376)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | トポロジカル磁気構造 / 反強磁性体 / スピントロ二クス / 薄膜 / スピン軌道相互作用 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
スピントロニクスにおいて磁気スキルミオンをはじめとするトポロジカルに安定な磁気構造は、そのカイラリティやトポロジーに由来した多様な機能性を示す重要な研究対象であり、その形成と機能性の探索は、これまで多くの研究者の関心を集めてきた。本研究では当領域に新たな展開をもたらすために、未開拓反強磁性トポロジカルスピン構造の実現とその機能性を開拓する。多層薄膜の高い構造設計の自由度を巧みに生かし、理論予測に留まっていた磁気構造を実現すると同時にその機能性を明らかにする。当該領域のミッシングピースであるトポロジカル磁気構造を観測、制御し、反強磁性トポロジカルスピントロニクスの扉を開く。
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研究実績の概要 |
スピントロニクスにおいて磁気スキルミオンをはじめとするトポロジカルに安定な磁気構造は,そのカイラリティやトポロジーに由来した多様な機能性を示す重要な研究対象である.その形成と機能性の探索は,これまで多くの研究者の関心を集めてきた。本研究では,当領域に新たな展開をもたらすために,未開拓反強磁性トポロジカルスピン構造の実現とその機能性を開拓することを目的として主に実験研究を取り組んだ. 本年度は,主に人工反強磁性体を用いて未開拓反強磁性トポロジカル磁気構造の探索及びその機能性開拓に取り組んだ.特に層間交換相互作用を誘起するための極薄非磁性層にPt/Irを用いることで,層間交換結合の大きさのみならず,界面磁気異方性,界面Dzyaloshinskii-Moriya相互作用(DMI)を適切に制御できることを見出した.その結果として,人工反強磁性スキルミオンのみならず,反強磁性メロン/アンチメロン,更には,反強磁性バイメロンを実現できることを明らかにし,論文として出版された.また人工反強磁性スキルミオンでは,ドリフト運動だけでなく,その拡散運動も実空間のトポロジーに起因して,コロイド粒子のようなある種,通常の粒子とは全く異なる挙動を示すことを明らかにし,論文として出版された. これらに加え,三次元トポロジカル磁気構造実現に必要不可欠となる層間に働くDMIの研究も並行して進めた.特に,これらが顕在化するスパッタリング条件等を系統的に調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初,令和5年度は,材料探索・構造設計指針の検討を行い,マイクロマグネティックシミュレーションを通して有望な材料・構造を得るのが目標であったのに対し,実際にはこれらの磁気構造の実現ができた上でより発展的な内容や,三次元トポロジカル磁気構造の実現指針も得られており,当初の計画以上に研究が進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
未開拓反強磁性トポロジカル磁気構造の内,メロン/アンチメロン,バイメロンを実現できており,今後はこれらの磁気的及び電気的制御に焦点をあてる.磁場制御においては,温度変化を伴って実験を行うことで,これらトポロジカル磁気構造間の相転移を調べる予定である.またこれらの電気的制御に関しては,ワイヤ細線にパターニングし,コンタクトパッドをCr/Auによって形成することでデバイスを作成する.更に,パルス電流をアンプを介して増幅しながら印可することによってこれらの構造の電気的制御にも取り組む予定である.これらのセットアップは,以前研究代表者が確立した実験系がそのまま使えることから,同様のものを使用予定である.磁場,温度変化が必要な際は,放射光施設を使用予定であり,いくつかのビームタイムは,既にいくつか確保済みであるため,これらを用いる予定となっている. 層間に働くDMIに関しては,特にDベクトルの分布を可能な限り単一方向に揃える必要があることから,ひき続き系統的な調査を進める必要がある.このため,スパッタリング条件,材料等に関しての研究を進める予定である.
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