研究課題/領域番号 |
23K13663
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長田 礎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00956287)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 金属酸化物 / 酸化物ヘテロ構造 / 触媒 / 電気化学 / 水電解 / 触媒界面 / 薄膜界面 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属酸化物は、その組成や結晶構造の豊富さに由来する高い拡張性および触媒活性の高さから有望な電極材料として注目されてきた。本研究では、触媒反応が進行する表面酸化物層の下に異種の酸化物層を導入することで、同一な触媒表面を持ちながら下地層の制御により触媒デバイスの電気化学特性が変調可能であることを実験的に証明する。原子レベルで制御されたエピタキシャルヘテロ構造を触媒化学に応用することで、触媒表面近傍の電子状態制御による触媒反応メカニズムを解明し、高活性触媒の設計に向けた研究基盤の構築を指向する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、パルスレーザー堆積法を用いてSrTiO3単結晶基板上にペロブスカイト構造を持つLaNiO3薄膜およびLaFeO3薄膜の合成を行い、各物質の合成条件を確立した。薄膜試料の結晶構造評価にはX線回折装置を用い、表面形状の評価には原子間力顕微鏡を用いた。 LaNiO3およびLaFeO3の合成条件の探索過程で、両物質の製膜条件(基板温度と酸素分圧)が近いことが明らかになった。また、アブレーションレーザーエネルギー密度を調整することで、平坦な表面を持つ結晶性の高い試料を得ることができた。 次に、SrTiO3単結晶基板上にLaNiO3/LaFeO3へテロ構造を作製することに取り組んだ。両物質は同じ製膜条件(基板温度と酸素分圧)で堆積した。原子間力顕微鏡によって平坦な表面構造を確認することができた。一方で、X線構造解析から、へテロ構造の作製によってLaNiO3薄膜の結晶性が低下し、化学組成が変化していることがわかった。本研究においては、原子レベルで制御された薄膜構造が必要であるため、2024年度は両物質の合成条件をさらに微調整することで引き続き最適な合成条件の探索に取り組む。 また、LaNiO3薄膜試料を電気化学デバイス化し、塩基性電解質溶液中での電気化学特性を調査した。電気化学測定は、ポテンショスタットを用いて作用電極に薄膜試料、参照電極にAg/AgCl電極、カウンター電極にPt電極を配置し、三電極法によって行った。サイクリックボルタンメトリー法によって、LaNiO3薄膜上での酸素発生反応が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エピタキシャルへテロ構造薄膜の合成条件の確立が不十分であるため。
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今後の研究の推進方策 |
ヘテロ構造薄膜の最適な合成条件を引き続き探索する一方で、現時点で作製したヘテロ構造についての電流-電圧特性(CV測定)、インピーダンス特性、およびガルバノスタティック測定を実施し、触媒特性を評価する。また、膜厚の変化によって、触媒特性と触媒表面近傍の電子状態との関連を調査し、触媒特性に影響を与える主要因子の特定に取り組む。
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