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カーボンナノチューブの錯体化学と安定化技術

研究課題

研究課題/領域番号 23K13671
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分29030:応用物理一般関連
研究機関神戸大学

研究代表者

堀家 匠平  神戸大学, 環境保全推進センター, 准教授 (00809486)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードカーボンナノチューブ / 錯体化学 / 電荷移動 / 錯体 / ドーピング
研究開始時の研究の概要

カーボンナノチューブ(CNT)に対するドーピング(不純物添加による電子あるいはホールの導入技術)は次世代の電子・エネルギーデバイスを構築する上で重要な技術であるものの、ドープ状態の安定性(耐熱性)が乏しいことが課題となっている。本研究では、ドープ状態にあるCNTをCNT/不純物イオンの錯体として捉え、その不安定性要因解明を目的とする。またドープCNTを広い温度域で安定に扱えるようにし、CNTの厳密な固体物性探求やデバイス応用へと展開可能にすることを目指し、ドープCNTの安定化手法を開拓する。

研究実績の概要

ドーピングによってカーボンナノチューブ(CNT)の多数キャリアをホールや電子に制御することはデバイス応用上、不可欠である。一方、その長期安定性を担保することも重要である。CNTのドープ状態は、電荷を導入されイオン化したCNTと、ドーパント由来の共役イオンからなる錯体とみなされる。本研究課題では、この錯状態としての安定性を高めることを目的としている。特に、錯体安定性の指標となるHSAB則、さらにその定量的尺度となる化学硬度をもとに、安定性を支配する因子の解明を目指している。
今年度はp型CNTに注目し、アニオン種を異とする複数のプロトン酸をドーパントとしたホール注入を行い、導電率やゼーベック係数の高温下経時変化(耐熱性)を評価した。また、吸着アニオンの化学硬度を量子化学計算によって求め、耐熱性データと比較した結果、化学硬度の低い(HSAB則的に軟らかい)アニオン種を用いるほど高い安定性が得られることが明らかとなった。CNTに導入された電荷はπ共役を介して非局在化することから、軟らかいカチオンとみなされ、同じく軟らかいアニオンと安定な錯体を形成した結果と考えられる。また、安定性に乏しいドーパントを用いてホール注入した場合でも、その後、吸着アニオンを軟らかいアニオン種に置換するプロセスを適用することで、その後の安定性が劇的に向上することが明らかとなった。これらドーピングとイオン置換は、溶液にCNT膜を浸漬するだけで行うことができ、汎用性の高い手法と捉えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究計画調書に記載した目的を概ね達成し、論文掲載に至った。一方、「n型CNTの安定性における安定性因子」、「ラマン活性の変化」といった新たな課題も見出されたため、最終年度にて検証を進める。

今後の研究の推進方策

「n型CNTの安定性における安定性因子」、「ラマン活性の変化」といった新たな課題も見出されたため、最終年度にて検証を進める。前者では、p型ドープ状態での検証例と同様、HSAB則に即した安定性の序列化を進める。後者については、ラマン活性の変化メカニズムの解明と、これがCNT輸送特性に対して与える影響を検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Complex chemistry of carbon nanotubes toward efficient and stable p-type doping2024

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki Kaho、Harada Ikuyo、Akaike Kouki、Wei Qingshuo、Koshiba Yasuko、Horike Shohei、Ishida Kenji
    • 雑誌名

      Communications Materials

      巻: 5 号: 1 ページ: 21-21

    • DOI

      10.1038/s43246-024-00460-0

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ドープカーボンナノチューブの錯体化学と安定化技術2024

    • 著者名/発表者名
      河﨑佳保, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報

      巻: 123(333) ページ: 7-12

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 有機超塩基カチオン含有イオン液体の合成とカーボンナノチューブ電気化学ドーピングへの応用2024

    • 著者名/発表者名
      西中茉佑子, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報

      巻: 123(333) ページ: 1-6

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Electrochemical charge-carrier modulation of carbon nanotubes using ionic liquids derived from organic superbases for stable thermoelectric materials2024

    • 著者名/発表者名
      Nishinaka Mayuko、Harada Ikuyo、Akaike Kouki、Wei Qingshuo、Koshiba Yasuko、Horike Shohei、Ishida Kenji
    • 雑誌名

      Carbon

      巻: 218 ページ: 118667-118667

    • DOI

      10.1016/j.carbon.2023.118667

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 錯体化学に立脚したカーボンナノチューブドープ状態の安定性原理解明と超高耐熱化技術の開発2024

    • 著者名/発表者名
      河﨑佳保, 小柴康子, 堀家匠平
    • 学会等名
      2023年度 先端膜工学春季講演会 学生ポスター発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有機超塩基カチオン含有イオン液体の合成とカーボンナノチューブ電気化学ドーピングへの応用2024

    • 著者名/発表者名
      西中茉佑子, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 学会等名
      電子情報通信学会OME2023-78
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ドープカーボンナノチューブの錯体化学と安定化技術2024

    • 著者名/発表者名
      河﨑佳保, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 学会等名
      電子情報通信学会OME2023-78
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有機超塩基イオン液体によるカーボンナノチューブの電気化学ドーピングと熱電特性制御2023

    • 著者名/発表者名
      西中茉佑子, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 学会等名
      神戸大学研究基盤センター若手フロンティア研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] p型CNTのドープ状態安定性におけるHSAB則2023

    • 著者名/発表者名
      河﨑佳保, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛 慶碩, 堀家 匠平, 石田 謙司
    • 学会等名
      神戸大学研究基盤センター若手フロンティア研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] プロトン酸によるカーボンナノチューブのp型ドーピングとイオン交換による高耐熱化2023

    • 著者名/発表者名
      河﨑佳保, 小柴康子, 赤池幸世紀, 衛慶碩, 堀家匠平, 石田謙司
    • 学会等名
      第84回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有機超塩基カチオンを有するイオン液体の合成 カーボンナノチューブの電気化学ドーピングへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      西中 茉佑子, 小柴康子, 赤池幸紀, 衛慶碩, 堀家匠平, 石田謙司
    • 学会等名
      第84回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有機超塩基ドーピングによる高耐熱n型カーボンナノチューブの開発2023

    • 著者名/発表者名
      堀家匠平, 衛慶碩, 赤池幸紀, 桐原和大, 向田雅一, 小柴康子, 石田謙司
    • 学会等名
      第84回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 日本熱電学会誌2023

    • 著者名/発表者名
      堀家匠平
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      一般社団法人日本熱電学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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