研究課題/領域番号 |
23K13675
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
近藤 圭祐 宇都宮大学, 工学部, 助教 (80878413)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | シリコンフォトニクス / 集積光デバイス / 光短パルス / 光計測器 / 光パルス計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、シリコンフォトニクス技術を用いて製作した超小型・ソリッドステートのパルス波形測定器の高感度化を目指す。そのために、このパルス波形測定器の二光子吸収フォトダイオードアレイにおけるアバランシェ増幅について、光学シミュレーションと電荷ダイナミクスシミュレーションを用いて探究する。さらに、そのアバランシェフォトダイオードを実装したデバイスを製作し、その感度について測定評価する。
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研究実績の概要 |
本グループではシリコンフォトニクス技術を用いて製作するチップサイズの光パルス波形測定デバイスを研究しており、本研究課題ではこのパルス波形測定デバイスの高感度化を探究している。具体的には、パルス波形測定デバイスに用いる二光子吸収フォトダイオード(TPA-PD)におけるアバランシェ増幅による検出感度の向上を研究している。令和5年度は当初の研究実施計画通り、電磁界伝搬シミュレーション(Lumerical社,FDTD)、および電荷輸送シミュレーション(Lumerical社,CHARGE)を用いてシリコン導波路上に形成するアレイ状のアバランシェTPA-PDの構造最適化を図った。ここではアバランシェ増幅の電流増幅率の向上を目的とした。まず、このシミュレーションにより、我々の従来のTPA-PDの構造では光パルスによって発生する信号電流よりも暗電流が強く増幅されて信号がノイズに埋もれてしまうことがわかったため、この問題を解決するようにpn接合の配置と形状を検討した。さらに、アバランシェ増幅領域の体積を絞ることで暗電流を低減できる可能性を見出し、これにより暗電流の増幅を抑えながら信号電流を増幅できる構造を提案した。シミュレーション上においては、本研究課題の目標としている電流増幅率50 ~ 100倍を達成できる展望が得られている。ただし、シミュレーションモデルでは実際のデバイスにおいて暗電流が発生するメカニズムを表現しきれていない部分もあるため、実際の暗電流ノイズは実デバイスを製作して評価してみなければわからない。よって、現在、産業技術総合研究所のシリコンフォトニクスファブを用いて、シミュレーション最適化したデバイスを製作している。令和6年度に、製作したデバイスを評価し、目標を達成できているかどうか、また、改善すべき点を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究内容は、概ね当初の研究計画に沿って進捗を得ることができた。電磁界伝搬シミュレーション(Lumerical社,FDTD)と電荷輸送シミュレーション(Lumerical社,CHARGE)を用いて、アバランシェ電流増幅を高効率化するようにTPA-PDのpn接合形状・配置を検討した。これにより、我々がこれまでに用いてきたTPA-PDよりも50倍以上高い電流を得られる見通しが立った。さらに、シミュレーションによる最適化結果を踏まえて、アバランシェ領域で駆動させるTPA-PDを設計し、2月にその製作を産業技術総合研究所のマルチプロジェクトウェハー (MPW) サービスへ依頼した。当初、本デバイスはNTT-AT社のシリコンフォトニクスサービスを用いて作製する計画であったが、pn接合を形成するための不純物イオン注入領域の最小寸法が本デバイスの要求を満たせなかったため、製作依頼先を産業技術総合研究所に変更した。発注したデバイスは令和6年度10月に納品予定であり、納品次第、実デバイスでのアバランシェ電流増幅効果を評価する予定である。令和5年度末からはその評価系の構築にも取り組み始めており、デバイスの納品後すぐに評価実験に移れるよう準備を整えている。また、シミュレーションによるpn接合構造最適化は引き続き継続しており、今後、さらなる改良案が見つかることを期待している。 以上より、本研究課題の進捗状況については概ね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、前年度に製作したTPA-PDの評価実験を行う。今回、17個のTPA-PDをアレイ状に配置した構造からなる光相関計を製作した(納品は令和6年10月予定)。本研究の光パルス振幅・位相測定器はこの光相関計と波長可変フィルタを組み合わせたものであり、研究開始当初は、これを用いてTPA-PDにおけるアバランシェ電流増幅率を評価する計画であったが、電流増幅率の評価においては光相関計だけでも十分であるため、評価実験の効率化を鑑みて、波長可変フィルタを省き、光相関計のみを製作した。納品されるデバイスの評価のために、17個あるTPA-PDの光電流値をコンピュータで自動計測する評価実験系とデバイスチップを駆動する電子回路基板を構築する。我々がこれまでに研究してきたアバランシェ増幅を用いないTPA-PDアレイ光相関計では、パルス幅1.0 ps、繰り返し周波数20 MHzのパルスの検出限界がピークパワーで約1 Wであった。前年度のシミュレーションではアバランシェ増幅により50倍以上の高感度が期待されるため、mWオーダーの光パルスを測定できるかどうか確認する。また、TPA-PDの定量性能評価のために、暗電流特性、ノイズ特性、光電流増幅特性を評価する。
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