研究課題/領域番号 |
23K13678
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 昌宏 京都大学, 工学研究科, 助教 (20880636)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フォトニック結晶レーザ / フォトニック結晶 / 半導体レーザ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フォトニック結晶の2次元共振作用をレーザ発振に利用した半導体レーザ(フォトニック結晶レーザ)において、2次元面内の回折効果のみならず、面垂直への放射波を介した回折効果をも総合的に制御する新たな手法により、半導体レーザとしてこれまでにない直径3mm以上の大面積での単一モード発振の実証を試みる。そして、100W級を超える高出力・高ビーム品質動作の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では,フォトニック結晶の2次元共振作用をレーザ発振に利用した半導体レーザ(フォトニック結晶レーザ:PCSEL)において,2次元面内の回折効果のみならず,面垂直への放射波を介した回折効果も総合的に制御する新たな手法により,半導体レーザとしてこれまでにない直径3mm以上の超大面積での単一モード発振の実証を試みる.そして,100W級を超える高出力・高ビーム品質動作(=高輝度動作)の実現を目指す. 初年度である2023年度は,まず,二重格子フォトニック結晶における直接的な面内回折及び放射を介した回折の両方を精密に制御し,回折効果を適切に低減することで,大面積単一モード動作を可能とするフォトニック結晶構造の設計・作製に成功した.続いて,実際に大面積デバイスを動作させるうえで重要となる,デバイス全面へ適切な電流注入を実現するために,出射ビームへの影響を極力避けつつ,適切な電流注入を可能とする放射線状の出射面側電極構造の設計・作製を行った.さらに,大面積デバイスの連続(CW)駆動における高出力動作を可能とするために,デバイスの発熱により生じる面内温度分布を補償するために,フォトニック結晶の格子定数に意図的な分布を導入した温度分布補償構造についても設計を行った.そして,以上の検討内容を踏まえて,直径3mmのフォトニック結晶レーザを開発した.開発したデバイスのCW駆動において,単一モード50W動作の実現に成功し,大型レーザに匹敵する輝度1GW/cm2/srを達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,フォトニック結晶レーザ(PCSEL)において,直径3mm以上の超大面積での単一モード発振による,100W級を超える高出力・高ビーム品質動作(=高輝度動作)の実現を目指している.初年度である2023年度は,大面積単一モード動作実現の鍵となる,二重格子フォトニック結晶における直接的な面内回折及び放射を介した回折の両方の精密な制御の実証に成功した.さらに,実際に大面積デバイスを動作させるうえで重要となる,適切な電流注入を可能とする電極構造,および動作時のデバイス温度上昇の影響の補償する構造についても設計を行うことが出来た.そして,これらの結果として,直径3mmフォトニック結晶レーザの開発に成功し,CW駆動における単一モード50W動作を達成することに前倒しで成功した.これは,半導体レーザ単一チップで,大型レーザに匹敵する輝度1GW/cm2/srを実現したことを意味し,本成果は,Nature誌に論文が掲載され,国内外の多数のメディアで報道されるなど,大きな注目を集めた.以上より,本研究課題は当初の計画以上に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,2023年度は,研究が当初計画以上に進行し,大面積PCSELの高出力・高ビーム品質動作を実現するための要素技術を開発するとともに,単一モード・CW 50W動作を実現することに成功した.2024年度はこの結果を踏まえ,さらに光出力を増大することを目指して研究を推進する.具体的には,まず,単位面積当たりの光出力を増大するために,デバイスの効率向上に関する検討を行う.デバイスを構成する材料(主にp型ドーピング層)の光吸収に起因した吸収損失の低減や,それに合わせた活性層の利得特性の調整等のデバイス層構造の最適化に取り組む.さらに,デバイスの発振面積の拡大による光出力の増大に関する検討も行う.発振面積拡大の方法としては,面発光レーザであることを活かした2次元アレイ化や単一デバイスのさらなる面積拡大等の手法について検討する.
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