研究課題/領域番号 |
23K13691
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 志彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究職 (80785460)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 広島原爆 / 微粒子 / 放射光 / 黒い雨 / 溶融デブリ粒子 / 原爆炸裂 / 高温溶融 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題ではWannierらが2019年に報告した、広島湾の海岸砂から見つかった高温熔融過程を経て形成したと推定される1ミリメートルに満たない、正体不明の6種類の粒子について、福島第一原子力発電所事故で放出した放射性粒子の解明に用いた手法を適用することで、広島湾粒子の性状把握を行い、最も合理的な生成過程を示す。それにより本研究で対象とする微粒子が、広島原爆に由来するものか、あるいはその後の人類活動や地球・惑星科学的な事象で生じたものかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題ではWannierらが2019年に報告した、広島湾の海岸砂から見つかった高温熔融過程を経て形成したと推定される1ミリメートルに満たない、正体不明の6種類の粒子について、福島第一原子力発電所事故で放出した放射性粒子の解明に用いた手法を適用することで、広島湾粒子の性状把握を行い、最も合理的な生成過程を示す。それにより本研究で対象とする微粒子が、広島原爆に由来するものか、あるいはその後の人類活動や地球・惑星科学的な事象で生じたものかを明らかにする。 本研究の目的は、6種類存在する広島湾粒子に対し、それぞれの素性を科学的に解明し、真の由来を特定することにある。そこで本研究では広島湾粒子が原爆炸裂時に生じたものかを推定する手段として、①77年前に堆積した地層から発見されるかという存在の時間軸、②長期間、環境中で保持され続けられるかという、粒子の持つ物性の時間軸、さらに③内包する放射性物質の同位体比という3つの観点から解明を行うものである。 本年度は実施初年度であったため、計画通り現地調査・試料採取を行い、さらに実験室に持ち帰った試料から粒子の分離を行い、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)で外観上の特徴を確認し、Wannierらが報告したものと同一の粒子を収集することに成功した。また一部試料に対し放射光実験を用い、X線蛍光分析(XRF)で内包する元素分析、X線回折(XRD)で結晶性の評価、X線CT撮影(XRT)で内部構造を観察した。なお本年度取り扱った試料の中にウラン等の核分裂に起因する元素は優位な濃度で含まれていないことを確認したため、放射性物質等に係る詳細解析は実施しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の段階で広島湾沿岸における試料採取を実施し、Wannierらが報告した微粒子と同一のものを回収することに成功し、一部試料に対し放射光実験で予備的データを取得することができた。一方で、鉛直方向の試料については事前に調整していた地点が土地改良されており、採取不適地と判断された。また広島湾沿岸で採取した試料量が放射能測定等の分析に用いるために必要な量が確保できていない。
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今後の研究の推進方策 |
他機関所属の研究者と共同で試料確保を進めるとともに、6種類中鉄含有量の多い4種類に対象を絞ることで、試料量を確保することで集中的に本研究課題の目的を達成する。
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