研究課題/領域番号 |
23K13700
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
立花 直樹 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部多摩テクノプラザ複合素材技術グループ, 主任研究員 (60633526)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 触媒 / メカノケミカル法 / ドープカーボン / 空気電池 / 複合ドープカーボン |
研究開始時の研究の概要 |
金属空気電池は次世代の電源としての応用が期待されているが、空気極に用いられる高活性な貴金属触媒は資源が限られるため、窒素やリン等の異種元素を複合ドープした低コストなカーボン触媒が注目されている。しかし、従来法によって複合ドープカーボン中の各元素のドープ量を制御することは困難であり、複合ドープによる効果を最適化できていないと推測される。本研究ではメカノケミカル反応を利用した複合ドープによって各元素のドープ量を制御して最適化し、触媒性能の大幅な向上の達成を目指す。
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研究実績の概要 |
遊星型ボールミルを用いたメカノケミカル法により窒素を多孔性カーボンにドープした。多孔性カーボンの細孔は、空気電池の正極で進行する酸素還元反応の反応物である酸素の拡散パスとして機能する。本研究では空気電池用酸素還元触媒の担体によく使用される多孔性カーボンであるカーボンブラックを出発原料として用いた。回転速度を300 rpmとしてボールミル処理を施しても、カーボン結晶のサイズは変化せずに窒素はドープされなかったが、回転速度を600 rpmとしてボールミル処理を施すと、炭素六角網面方向の結晶子サイズ(La)が、積層方向の結晶子サイズ(Lc)とともに小さくなった。したがって、ボールミル処理によって、この炭素六角網面を成すC-C結合が切断されてダングリングボンドが表面に生成すると考えられ、この化学的に不安定なダングリングボンドをもつCがボールミルジャー雰囲気中の窒素との間で固体―気体メカノケミカル反応して、カーボンブラック表面に窒素がドープされたと考えられる。また、カーボンブラック粒子はボールミル処理によって粉砕され、得られた窒素ドープカーボンの比表面積はボールミル処理前のカーボンブラックと比較して10倍に増加した。この固体―気体メカノケミカル処理によって得た高比表面積の窒素ドープカーボンは、ドープされた窒素によって活性サイトが表面に多数、形成されるため、高い酸素還元活性を示した。一方、回転速度を800 rpmとしてボールミル処理を施すと、得られた窒素ドープカーボンのドープ量はさらに増加したが、粉砕された粒子の再凝集が生じて比表面積は小さくなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カーボンへの複合ドープの一段階目として、遊星型ボールミルを用いたメカノケミカル法による窒素のシングルドープを検討し、そのドープ量の制御方法を確立するとともに、ボールミル処理条件によっては比表面積を増加させることができることを明らかにした。したがって、予定の内容をおおむね遂行できたため、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
既にリンドープについて検討を進めており、固体―気体メカノケミカル法により得た窒素ドープカーボンに対して熱処理法によってリンドープすると、同様の熱処理法によってリンドープしたカーボンブラックと比較して、そのリンドープ量が14倍に増加することがわかった。今後はこのリンドープのメカニズムの解明を進めるとともに、カーボン材料に対するリンドープ量の制御方法の確立を目指す。
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