研究課題/領域番号 |
23K13707
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
檜垣 達也 京都大学, 化学研究所, 助教 (70964881)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 金属クラスター / クラスター錯体 / 単分子磁石 / 交換相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、鉄族原子により構成されるクラスター単分子磁石を合成し、金属原子間の強い相互作用がクラスターの磁性へ与える影響について検証する。具体的には、異なるサイズの金属クラスターを精密合成し、単結晶X線構造解析により原子レベルで正確な化学組成と幾何構造を解明する。次に、合成したクラスターの磁性を評価し比較することで、構成原子数や幾何構造とともに変化する金属間相互作用の数や種類が磁性に与える効果について議論する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的である強い交換相互作用を有するクラスター単分子磁石を合成するためには、まず金属間に結合が存在するクラスター錯体の合成が必要となる。初年度に当たる本年度は、金属間結合を有する鉄、コバルト、または、ニッケルクラスター錯体の合成に取り組んだ。合成手法としては、低原子価金属アミド錯体を配位子存在下でホウ素試薬と反応させる反応を応用した。配位子としては、ホスフィンやN-ヘテロ環状カルベンを用いた。その結果、1 nm前後のサイズを含むいつくかのクラスターについて、合成と単離に成功した。また、リン原子上の炭素鎖の異なるホスフィンを保護配位子として用いた場合は、同様の反応条件においても異なる生成物が得られることが明らかになった。合成したクラスターはX線構造解析により結晶構造を決定し、金属間の距離について確認した。また質量分析法により、鉄族金属クラスターの化学組成を確認した。さらにこれらのクラスターを重溶媒に溶かしてNMRを測定し、基底状態の磁性について確認した。またこれらのクラスターの酸化還元特性について調査するため、電解質存在下でサイクリックボルタンメトリーなどの電気化学測定を行った。その結果、いくつかのクラスター錯体について、酸化体または還元体が安定であることが示唆された。これらのクラスター錯体については、酸化状態を制御することで、磁性がどのように変化するか調査することも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の分析対象である鉄族金属クラスターの合成には既に成功している。これらのクラスターの結晶構造はX線構造解析により決定した。結晶構造における金属間の距離から、これらのクラスターには強い交換相互作用が働くことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は合成したクラスターの磁性について評価する。具体的には超電導量子干渉計により、磁場依存磁化測定や、直流および交流磁化率測定を行う。測定データを基にして、それぞれのクラスターの基底状態の磁性について確認し、単分子磁石としての性能を評価する。
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