研究課題/領域番号 |
23K13710
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
豊島 遼 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (20844806)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 表面界面 / 触媒 / 化学センサ / X線光電子分光 |
研究開始時の研究の概要 |
軟X線を利用したその場測定は、固体触媒や化学センサなどの表面反応が関わる機能材料の分析に有効である。材料の特性は、化学状態だけでなく、構造にも強く影響されるため、動作原理の真の理解のためには、化学状態と構造をどちらも把握することが必須である。本研究では、化学状態を調べるX線光電子分光と表面構造を調べる共鳴軟X線反射率測定をオペランド環境下において同時測定する新しい分析システムを立ち上げる。表面の化学状態と構造を同時に測定し、それぞれの与える影響を定量的に明らかにすることで、表面機能材料の動作原理を詳細に理解する。
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研究実績の概要 |
材料表面の化学状態と構造を同時に分析することができれば、より深く材料の機能メカニズムを理解できると期待される。今年度は本課題の初年度であり、軟X線領域の光電子分光およびX線反射率が可能な実験装置の製作に注力した。具体的には高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー内に設置した光電子分光装置にX線検出器を追加した。X線検出器は軟X線領域に感度の高いものを選定し、真空に接続するための治具を介して真空装置に取り付けた。検出器は1軸方向に素子が並んだアレイ型のものとした。これに加えて試料位置を精密に調整するパルスモータ制御のXYZθ4軸マニピュレータを追加した。4軸マニピュレータには再現性良く試料位置を調整するべく自作の制御プログラムを組み込み、これが十分に機能することを確認した。 装置を放射光ビームラインにつなぎ込み、試料周囲に反応ガスが存在するオペランド条件下で温度を変化させながらの光電子分光測定が可能かを検証した。本研究では、測定対象として固体触媒、化学センサが候補となるが、本測定システムでオペランド計測するのに適した材料の探索を行い、研究候補の絞り込みを行った。特に、実際に材料が動作しているかを検証するための質量分析、抵抗率測定と組み合わせて、活性が出ているとき、出ていないときでの材料表面を観測する技術を確立した。測定の結果、次年度以降に測定を継続していくべきいくつかの測定候補を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、X線反射率測定のための検出器の導入、そしてパルスモータ制御の4軸マニピュレータを導入し、本年度の目的である光電子分光装置へのX線反射率測定システムの組み込みを行えたため。また、本研究で分析対象としている触媒、化学センサ材料について、オペランド環境下での光電子分光測定に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に立ち上げたX線検出システムを光電子分光装置の下流に接続して、光電子分光とX線反射率を同時測定できるようにする。4軸マニピュレータに試料を取り付け、2つの測定を両立する条件を最適化する。さらに材料特性の評価する質量分析計、ソースメジャーユニットを用いて、オペランド条件下での同時分析を目指す。
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