研究課題/領域番号 |
23K13722
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
横森 創 立教大学, 理学部, 助教 (50934593)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 金属ジチオレン錯体 / 傾角反強磁性 / 単一成分分子性導体 / 分子性結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、磁石と同様の性質を示しかつ電気伝導性を有する傾角反強磁性分子性導体の開発およびその構造-物性相関の解明を行う。これまでに傾角反強磁性分子性導体の報告例は非常に少なく、その詳細な構造-物性相関や分子設計指針に関しては全くの未知である。ここでは、傾角反強磁性分子性導体を構築する中性ラジカル錯体分子の化学的な修飾・元素置換を行いその電子物性を系統的に調査することで、傾角反強磁性の発現起源を明らかにし、その分子・物質設計指針の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
単一成分分子からなる傾角反強磁性分子性導体の構造物性相関の解明を目標として、本年度は主としてアルコキシ鎖長の変調とその非対称化に取り組んだ。その結果、新たに6種類の新規錯体結晶の合成に成功し、そのうち4種類の結晶において傾角反強磁性を示すことを明らかにした。 X線構造解析に結果により、当該錯体ではアルコキシ鎖長をブトキシ基以上の長さにすると1次元π-πスタック構造を形成することがわかった。一方で、エトキシ・プロポキシ基を有する錯体に関しては非対称錯体であっても2次元ヘリングボーン配列を形成していた。また、メトキシ・エトキシ基またはプロポキシ・ブトキシ基を持つ非対称型錯体2種では、多形が存在するものの結晶化条件によって作り分けが可能であり、2次元的へリングボーン構造を構築できることがわかった。これらの錯体の磁気測定を行った結果、2次元へリングボーン配列となった錯体のみが傾角反強磁性を示し、この配列が傾角反強磁性を示す本質的な原因であることが強く示唆された。 また、エトキシ基を持つ対称型錯体に関して、中心金属をニッケルに置換した閉殻分子類縁体との再結晶による固溶化を行った。その結果、開殻種:閉殻種が10:0から0:10までの整数比で仕込み比通りの比率からなる固溶体結晶が得られた。興味深いことに、9:1から7:3までの比率の固溶体では傾角反強磁性転移温度を段階的に減少させることが可能であり、6:4の比率以降の固溶体では転移が消滅することが明らかとなった。 今後は、傾角反強磁性を示すアルコキシ鎖長を持つ錯体に関して、元素置換やその他官能基の導入によってスピン間相互作用の増減させることで転移温度・飽和磁化がどのように変化するかを調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アルコキシ鎖長を変調した錯体の合成に加え、アルコキシ鎖長の非対称化によって傾角反強磁性を示す分子配列を形成する鎖長・組み合わせの特定に至ったこと、また閉殻分子との固溶化によって傾角反強磁性転移温度の段階的な制御に成功したため
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今後の研究の推進方策 |
傾角反強磁性分子性導体構成分子の元素置換した類縁体を合成し、その結晶の電子構造変化や傾角反強磁性の転移温度・飽和磁化の変化を明らかにする。これと並行して中心金属を変えた閉殻分子類縁体との固溶化による傾角反強磁性兵の影響を調査する。
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