研究課題/領域番号 |
23K13726
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
島尻 拓哉 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (00963985)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 反芳香族分子 / 酸化還元系 / シクロブタジエン / 近赤外吸収 / プロパルギルカチオン |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、テトラアリールキノジメタン型分子が二電子酸化によって、二つのジアリールメチルカチオンと環状骨格内部に新たなπ結合を形成するユニークな酸化還元特性に着目した。即ち、本手法を反芳香族分子構築に展開することで、非芳香族分子から酸化を駆動力として、反芳香族構造を一挙に構築可能である。さらに、酸化により生じたジアリールメチルカチオンの低いπ*軌道は、反芳香族分子の潜在能力(小さなHOMO-LUMO Gap)を効果的に引き出し、大きな近赤外吸収を実現可能である。
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研究実績の概要 |
本年度は、酸化的シクロブタジエン骨格構築を目指し、ジメチレンシクロブテン誘導体の合成とその酸化還元特性について調査した。種々検討を行った結果、プロパルギルアルコールからジメチレンシクロブテン誘導体を簡便かつ高収率で合成可能な手法の開発に成功した。本手法は、従来法では合成困難であったかさ高い置換基を有する誘導体にも適応可能であり、今後ジメチレンシクロブテン誘導体の更なる調査を可能にする。 得られたジメチレンシクロブテン誘導体の酸化還元特性について調査するために、サイクリックボルタンメトリー測定を行った。その結果、一電子酸化還元波が二段階で観測され、酸化によるシクロブタジエン構造の形成が示唆される。実際に、酸化剤を用いて化学酸化を行うことで、ラジカルカチオン塩の合成に成功し、X線結晶構造解析にも成功した。これはカチオン性・ラジカル性置換基を有するシクロブタジエンの初の合成である。紫外可視近赤外吸収分光測定を実施したところ、得られたカチオン種は紫外可視光領域全域を覆うブロードな吸収帯を有しており、吸収端はIR領域にも及ぶことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題にて設定した課題において論文投稿段階まで到達しており、次の成果につながり得る設計指針を獲得できていることから,順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
種々の置換基を有するジメチレンシクロブテンの化学酸化を行い、そのカチオンラジカル、ジカチオンの単離を目指し、さらなる検討を進める。X線結晶構造解析、分光測定、理論計算を組み合わせ、その性質について詳細に調査を行う計画である。
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