研究課題/領域番号 |
23K13727
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 公益財団法人相模中央化学研究所 |
研究代表者 |
森迫 祥吾 公益財団法人相模中央化学研究所, その他部局等, 副主任研究員 (70874840)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 低配位化学種 / メタリレン / 小分子活性化 / 典型元素 / 分子触媒 / 芳香族化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
革新的な分子変換反応の開発は有機化学における恒久的な重要課題であると同時に,その中心的役割を担う遷移金属の元素枯渇や毒性が問題視されている。これら課題の解決策として,豊富かつ低毒性な典型元素触媒の開発が挙げられる。本研究課題では,豊富な典型元素を用いる触媒的分子変換反応の開発を見据え,低配位典型元素化合物の反応性を緻密に制御する分子設計指針の確立を目的としている。すなわち,低配位典型元素上にπ骨格を導入し,π骨格上の置換基効果によりπ骨格と典型元素中心の電子的摂動を緻密に調整することで,電子的摂動と反応性に関する体系的な基礎学理を構築する。
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研究実績の概要 |
クロスカップリング反応に代表される均一系触媒を用いた分子変換反応は,有機合成化学において革新をもたらした一方,触媒中心には稀少な遷移金属元素が用いられており,豊富元素を用いた代替手法の開発が国際的な重要課題とされている。低毒性かつ豊富に存在する典型元素は触媒中心として理想的であるが,遷移金属触媒を代替・凌駕するような典型元素触媒の合理的な分子設計指針は確立されていない。本研究課題では,豊富元素を活用した分子変換反応の開発を見据え,14族二価化学種であるメタリレンの緻密な電子状態制御に不可欠な分子設計指針の構築および新規反応性の開拓を目的として研究を開始した。当該年度は,地殻中二番目に埋蔵量が多いケイ素に着目し,二価ケイ素化学種(シリレン)を標的分子に定めた。具体的には,高い反応性が期待されるアミノ基およびアリール基が置換した環状シリレンの開発に着手した。標的分子は理論化学計算により芳香族性を示し,安定化の一助となることが示唆された。シリレン前駆体であるジクロロシランの合成,構造解析に成功し,現在,化学還元によるシリレンの発生検討を行っている。また,非常に高い反応性が期待される環状ジアリールシリレンの開発にも取り組み,前駆体であるジクロロシランの合成を達成した。現在,ジクロロシランの単離および還元によるシリレンの発生検討を行っている。類似のジアリール骨格を有する二価ゲルマニウム化学種(ゲルミレン)についても合成を行い,溶液中低温下でゲルミレンが発生していることを確認した。ゲルミレンに中性配位子を配位させることで室温にて安定なゲルミレンの単離に至った。現在,ゲルミレンの反応性について調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は,地殻中二番目に埋蔵量が多いケイ素の二価化学種であるシリレンの合成に着手した。シュレンクテクニックおよび特殊ガラス器具を活用し,標的分子の前駆体であるジクロロシランの合成を達成した。今後は,合成したジクロロシランの還元によるシリレンの発生検討を行う。また,ゲルマニウムの二価化学種であるゲルミレンの合成にも着手し,中性配位子をゲルマニウム上に配位させることで室温にて安定なゲルミレンの単離に至った。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に合成した標的化合物前駆体であるジクロロシランに対し,ナトリウムやカリウムなどの還元剤を作用させることでシリレンの合成検討を行う。二配位のシリレン状態が不安定な場合は,当該年度の知見に倣い,中性配位子を用いた配位安定化による単離検討を行う。また,当該年度に単離したゲルミレンの反応性についても調査する。
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