研究課題/領域番号 |
23K13746
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
良永 裕佳子 京都大学, 工学研究科, 助教 (70973585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ボリル化 / C-H活性化 / イリジウム触媒 / らせん高分子 / 高分子触媒 / 不斉反応 / 多点認識 / 不斉触媒 / ホウ素化 |
研究開始時の研究の概要 |
不斉C-Hホウ素化反応は、合成化学的に有用なキラル有機ホウ素化合物を優れた原子効率で得られる反応であるが、未だその開発例は限られている。その原因の一つとして反応に用いられる触媒のキラル骨格が立体障害として反応を阻害する場合が多いことが挙げられる。本研究では触媒のキラル骨格として、大きなキラル空間を側鎖に有するらせん高分子ポリキノキサリンを用いる。キラル空間内における側鎖と基質の相互作用を設計することで、触媒骨格による反応阻害を抑制するとともにエナンチオ選択的にC-Hホウ素化を進行させるキラル触媒を創出する。
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研究実績の概要 |
配位性ビピリジン部位を有するキラルらせん高分子ポリキノキサリン-2,3-ジイル(PQXbpy)を用いて、イリジウム触媒による不斉C-Hボリル化反応の実現に向けた検討を行っている。令和5年度はイリジウム-PQXbpy錯体を用いて様々な基質の反応性を調べ、基質展開への知見を得た。キノキサリン環の5位に配位性6-ビピリジンユニットを導入した高分子配位子を用いると、種々の配向基を有する一置換ベンゼンのC(sp2)-Hボリル化が進行した。一方で反応の位置選択性については当初の想定とは異なり、配向基のオルト位で反応が進行する傾向があることを見出し、このことからビピリジンのピリジン環の片方が配位せず、C-N二座配位子としての寄与が大きいことが示唆された。そこでC-N二座配位子としてキノキサリンの5位に2-ピリジル基を導入した配位子を合成し、反応に用いたところ反応活性が向上すると共にオルト位選択性が向上する結果となった。またC(sp3)-H結合の活性化も進行することが明らかになりつつあり、配向基を有するピロリジン環のC-H結合のボリル化にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り基質ごとの反応性を調べ、その中でもC(sp2)-H, C(sp3)-H結合のボリル化反応が進行する基質を見出した。その過程において当初の想定と異なる位置選択性を見出し、当初の予定とは異なるC-N配位子の開発にも成功した。これらを用いて不斉反応の検討も始めており、プロキラルなジアリールメタン誘導体の非対称化を伴う不斉反応では、エナンチオ選択性が不十分ながらも発現されることを確認している。令和6年度以降の計画として挙げている、高分子ユニット間相互作用を利用したキラル環境の構築を通して選択性の向上が見られるか、検討に向けて準備している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に得られた反応性に関する知見をもとに、不斉ボリル化反応のエナンチオ選択性の向上に向けて、配位子部位の最適化をおこなうとともに、高分子ユニット間での協同的なキラル環境構築を目指して側鎖置換基の検討を行う予定である。側鎖構造を変更することで安定なキラルらせん構造を保てなくなる可能性があるが、その場合は側鎖と特異的に相互作用するキラル添加剤などの利用も視野に、反応場の最適化を進める予定である。
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