研究課題/領域番号 |
23K13752
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
太田 英介 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80790188)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | ペプチド / 可視光レドックス触媒 / C-N結合開裂 / ラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ペプチド鎖に含まれるC-N結合を開裂するペプチド改変触媒系を開発する。光誘起電子移動を利用して、還元的にC-N結合を開裂し、生じたラジカルを官能基する手法の確立を目指す。申請者が既に見いだしたC-N結合開裂反応および、光誘起電子移動系の強い還元力に着想を得て、可視光駆動型の触媒反応を開発する。修飾法に乏しいアミノ酸を対象とする触媒反応を開発し、昨今注目を浴びるペプチド創薬をさらに加速させる新たな基盤技術を創出する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、ペプチド鎖に含まれるアミドのC-N結合を開裂する、ペプチド改変触媒系を開発する。具体的には、光誘起電子移動を利用して、還元的にC-N結合を開裂し、生じたラジカルを官能基する方法論を確立する。ペプチド主鎖の改変は、全体のコンフォメーションに大きな影響を与える。ペプチド創薬が得意とする創薬ターゲットであるタンパク質間相互作用の阻害に際し、コンフォメーションはペプチドの生物活性と密接に関わる。Late-stage functionalizationの側面をもち、一工程でペプチドのコンフォメーションを変化させる本反応は、ペプチド創薬を大きく加速させると期待される。 本年度は、申請者が見いだした可視光駆動型還元的C-N結合開裂反応の触媒系を再検討し、より広範なペプチドに適用可能な方法論の確立を目指した。以前見いだした反応は、アミドの還元的C-N結合開裂において、触媒的にCα-N結合の開裂可能な珍しい手法である。しかし、適用可能な基質は芳香族アミド類に限定されており、基質一般性に課題があった。脂肪族アミド類に適用可能な触媒系として、強力な還元力を示す光誘起電子移動反応に着目し、反応条件の最適化を進めた。光触媒を検討したところ、申請時には僅かしか進行しなかったC-N結合開裂反応の収率が大幅に向上した。現在は各種アミノ酸を中心に基質適用範囲の調査を進めている。また、現段階では限定的だが、ペプチドを基質とした際にも結合開裂が進行することを見いだしている。本研究で得られた知見をもとにした脱窒素型光触媒反応も発見しており、本研究を大きく進展させることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
可視光駆動型の還元的C-N結合開裂はアミノ酸に適用でき、高い収率で還元体を与えることを見いだした。本手法はペプチドにも適用可能であった。また、本研究で得られた知見をもとに、異なる形式の結合開裂反応の開発も複数進行中であり、次年度以降の躍進につながる成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
光触媒検討の過程で、独自に設計した有機光触媒がC-N結合開裂に有効であることを見いだしている。今後は光触媒ライブラリを充実させ、アミノ酸残基選択的なC-N結合開裂に展開したい。
|