研究課題/領域番号 |
23K13756
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鄭 キン 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任助教 (10908718)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 無孔性配位高分子 / ガラス / ガス分離 |
研究開始時の研究の概要 |
金属イオンと有機配位子から構築される多孔性配位高分子はガス分離の分野で注目されているが、その機能向上は頭打ちの傾向にあり新機軸の物質設計が求められている。本研究では、これまでガス分離に全く用いられてこなかった無孔性配位高分子をガラス化することによりガス溶解・拡散現象を利用したガス分離機能を発現させ、配位高分子をベースとした材料探索の広範な展開を実現する。得られる結果は新機軸に基づくガス分離材料として大きな学術的意義をもたらすだけでなく、地球温暖化ガスの高効率分離や化成品原料ガスの精製などの将来的な応用展開が期待できる。
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研究実績の概要 |
金属イオンと有機配位子から構築される多孔性配位高分子はガス分離の分野で注目されているが、その機能向上は頭打ちの傾向にあり新機軸の物質設計が求められている。本研究では、これまでガス分離に全く用いられてこなかった無孔性配位高分子をガラス化することによりガス溶解・拡散現象を利用したガス分離機能を発現させ、配位高分子をベースとした材料探索の広範な展開を実現する。 令和5年度においては、低融点を有する無孔性配位高分子を構築するため、柔軟なカンターアニオンや有機配位子を使用し、かつ配位環境の柔軟性も考慮する必要がある。このため、正方形平面から四面体まで柔軟な配位環境を提供できる亜鉛イオンが選択された。 拡散法を用いて、目的の亜鉛無孔性配位高分子(Zn-NCP,[Zn(bib)2]2NTf2, NTf2-: Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide, bib: 1,4-bisimidazolebutane)を合成することに成功した。Zn-NCPは、示差走査熱量計と熱重量示差熱分析装置によって評価され、その結果、非常に低い融点(102℃)と記録的な高い液体状態の範囲(330℃)を持つことが示された。 また、Zn-NCPガラス(Zn-NCP-g)を簡易な溶融急冷法で調製することに成功した。X線吸収分光法によるZn-NCP-gの構造解析の結果、Zn-NCPと類似した構造であることが明らかとなった。さらに、Zn-NCP-gを他の多孔性配位高分子で被覆した。得られた複合体はCO2/N2選択性が向上し、Zn-NCP-gのCO2透過性は報告されている無孔性配位高分子ガラスよりも一桁高かったことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の予定通り、新しい低融点を有する柔軟な無孔性配位高分子結晶を合成し、その結晶をガラスに変換することに成功した。また、得られたNCPガラスと配位高分子結晶の複合体を作製した。X線回折、DSC、XAS、FT-IR、SEM-EDSなどによって無孔性配位高分子結晶、ガラス、および複合体の物性評価を行った。さらに、ガス吸着の結果により、得られた複合体は、選択的なCO2吸着だけでなく、より高いCO2透過性も示した。来年度には、ガラス膜の作製と評価が予定されており、その一環として、混合ガス膜分離装置の組立作業が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
作製した無孔性配位高分子ガラスについて成膜とガス透過性の測定を行うとともに、他の柔軟なコンポーネントで構築された無孔性配位高分子についてもガラス膜を作製可能であるか検討する。
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