研究課題/領域番号 |
23K13762
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
立石 友紀 京都大学, 高等研究院, 特別研究員(PD) (00973116)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 金属錯体多面体 / 事後修飾 / 分子カプセル / 自己集合 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質に代表されるような、Åから10 nmの2桁以上に渡る長さスケールの夾雑的な分子群の中から特定基質の選択的な認識を実現するには、捕捉される分子に適応する動的空間と認識部位をホスト分子に導入することが鍵となる。本研究では、化学修飾可能な金属錯体多面体を節として用いて、共有結合や配位結合を駆使して連結させた新しい分子カプセルを創出する。伸縮可能なリンカーや分子認識部位の事後導入により、ゲストに応じて機能空間のサイズ・形状を調整でき、有機分子の多成分検出や薬物輸送システムへの応用など、分析・バイオ領域への波及効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、金属錯体多面体(以下、MOPs)を節とし、MOPs同士を伸縮可能な有機分子によって繋ぐことで多様な分子認識部位の導入が可能な、新しい分子カプセルを創出することを目的とする。実現に向けた課題は(1)テンプレートへのMOPの固定、(2)テンプレート上でのMOP連結によるカプセル化、(3)事後修飾による分子認識部位導入および分子認識能の開拓 の3点が挙げられる。上記に挙げた課題の中でも本研究の根幹は課題(2)への解決策の一つである、MOP上での事後修飾法の確立である。 今年度は、12個のカルバゾールジカルボン酸からなる八面体型ロジウムMOPに注目して研究を行った。MOPs同士を繋ぐ上でMOPs表面上の反応サイト数の制御は有効である。無置換のカルバゾールジカルボン酸と、ベンジル基の導入によりMOP表面上の反応サイトをあらかじめ塞いだ状態の9-ベンジル-9H-カルバゾール-3,6-ジカルボン酸を混合してロジウムMOP合成を行うことで、MOP 1分子上に導入されているベンジル基の数を1,3,6,9,11個にそれぞれ調整することに成功した。 また、無置換のカルバゾールジカルボン酸12個からなる八面体型ロジウムMOPに対し、求電子性官能基を有した塩化アルキル化合物を塩基性溶液中で反応させることで、ロジウムMOP表面に求電子性官能基を導入し、求電子剤へ変換することに成功した。続いて求核性の官能基を有するアミノ酸と反応させたところ、1H NMRスペクトル上で新たな信号が確認された。以上の結果はロジウムMOP表面の事後修飾によって導入された求電子性官能基が、逐次的に反応し、二段階の分子変換が可能であることが示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MOP表面にある反応サイトの数の制御およびMOP表面の事後修飾による多段階の分子変換が可能であることを明らかにした。これによって(1)MOPのテンプレート上への固定と、(2)MOP同士の連結 の2種の異なる課題を、共有結合形成を伴う事後修飾によって解決可能になる道筋が示唆された。現在はMOPを節とした分子オリゴマーの合成に向け、条件検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実現した事後修飾の知見を活かし、配位結合ならびに動的共有結合によってMOPをテンプレート上に固定し、その希薄溶液中で、MOPの数が制御された分子カプセルの創出を進める。適切なテンプレートおよびリンカー分子の検討、ならびにMOPの連結に用いる溶媒や濃度を検討することで、ポリマー化を抑えた合成条件を最適化することで分子カプセルを合成する。
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