研究課題/領域番号 |
23K13768
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
池下 雅広 日本大学, 生産工学部, 助教 (10908776)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 円偏光発光 / 円二色性 / キラル / 遷移金属錯体 / 燐光発光 / 白金錯体 / ホウ素錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
円偏光発光 (CPL; Circularly Polarized Luminescence) は、キラルな色素が示し得る発光特性であり、三次元ディスプレイ材料の発光素子や蛍光イメージング材料などの次世代光情報技術への応用が期待されている。本申請研究では、燐光性白金錯体の運動性や集積状態の精密制御に基づく動的円偏光燐光の実現を目指して研究を遂行する。さらに、外部刺激(温度、磁場、電場、力学刺激)などに対して誘発されるCPL特性の変化を観測し、新機能・新現象を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究では、三次元ディスプレイ材料の発光素子や蛍光イメージング材料などの次世代光情報技術への応用を目指した高効率な円偏光燐光を示す平面四配位白金錯体の創成を目的としている。特に、燐光性白金錯体の運動性や集積状態の精密制御に基づく動的円偏光燐光の実現を目指して研究を遂行した。 本年度は、種々のキラルな有機配位子を有する白金錯体を合成し、その構造と円偏光燐光特性の相関関係について詳細な調査を行った。その結果、配位子への置換基導入に基づくマルチカラー円偏光燐光の実現(BCSJ 2023)、金属配位平面のねじ曲がり(Inorg. Chem. 2023)や折れ曲がり(Dalton Trans. 2024)、らせん構造の誘起(Chem. Commun. 2024)に起因した円偏光燐光強度の増幅および精密制御を達成し、高効率な円偏光燐光材料創成のための知見を蓄積した。 また、類似のキラル配位子を用いることで、高効率な蛍光発光を示すホウ素錯体の開発検討も行い、無溶媒液体状態における円偏光発光(Chem. Lett. 2023)およびマルチカラー蛍光発光(Soft Matter 2024)の発現にも成功した。さらに、高効率な円偏光発光を発するらせん型ホウ素錯体の開発(Chem. Asian J. 2024)も行い、査読者からの高い評価を受けて掲載雑誌のcover pictureとして採択された。現在関連研究についての原著論文1報を投稿中、1報を執筆中である。以上に示した成果のように、予定していた研究はおおむね順調に進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で設計、合成された白金錯体およびホウ素錯体が効率良く円偏光燐光または円偏光発光を示すことが判明し、今後さらなる展開が期待されるため、おおむね順調と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、これまでに合成されたキラル白金錯体またはホウ素錯体の円偏光発光挙動について、包括的に理解し研究をまとめる作業を行っていく。また、所属学会や原著論文による発表を積極的に行い、情報発信に努めていく。
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