研究課題/領域番号 |
23K13771
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮川 晃尚 筑波大学, 数理物質系, 助教 (80881599)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ゼータ電位 / マイクロ粒子 / タンパク質 / 微量計測 / 抗原抗体反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はゼータ電位測定に基づいた粒子表面反応の評価方法を確立することである。マイクロ粒子の体積は非常に小さいため、粒子表面反応を別のシグナルとして検出できれば微量計測が可能となる。本申請研究では、ゼータ電位を利用する。粒子表面反応により電荷量変化を起こせば、ゼータ電位の変化として検出できる。本申請研究では、マイクロ粒子表面に吸着したタンパク質の定量および抗原-抗体反応の検出を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、1. ゼータ電位を用いた粒子表面吸着分子の定量と2. 抗原-抗体反応を利用した微量計測に着手した。 1. ゼータ電位を用いた粒子表面吸着分子の定量 先行研究により、粒子表面に結合したタンパク質の量をゼータ電位の変化から検出する手法を確立した。本研究では、その定量法を用いて、タンパク質の粒子表面吸着量を評価した。ターゲットのタンパク質には、BSA、ミオグロビン、ヘモグロビン、リゾチーム、シトクロムcのそれぞれpIの異なるものを用いた。タンパク質吸着粒子のゼータ電位のpH依存性を評価したところ、pHに依存して、吸着量が変化した。これは、粒子表面とタンパク質の電荷がpHに依存するためである。吸着挙動はLangmuirの吸着等温式により解析でき、タンパク質吸着が単層吸着で解析できることがわかった。しかし、吸収分光で測定した吸着挙動は多層吸着を示しており、ゼータ電位測定の結果と異なる結果を得た。これは、ゼータ電位が粒子の最外表面の電荷を認識しており、多層吸着であっても単層吸着として認識されるためであることを明らかにした。吸収分光により測定した吸着挙動はGABモデルにより解析を行い、hard coronaとsoft coronaの吸着平衡定数を定量した。タンパク質の吸着はpHがpI付近であっても起こることが示され、これは、タンパク質間の静電相互作用が弱くなり、吸着量が増えたためであると考えられる。 2. 抗原-抗体反応を利用した微量計測 抗原-抗体反応を用いて、ゼータ電位計測に基づく非修飾計測の確立を目指した。モデル反応として、ウサギ交代の一次抗体と二次抗体の反応を用いた。一次抗体修飾粒子のゼータ電位のpH依存性から、Gouy-Chapman-Sternモデルと酸解離定数を組み合わせたモデルで説明できることを示した。次年度は二次抗体反応粒子の定量と解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、1.ゼータ電位を用いた粒子表面吸着分子の定量と2.抗原-抗体反応を利用した微量計測をそれぞれ1年ずつで完遂させる予定であった。しかし、1.の研究に関して、非常にうまく進行し、約半年程度で研究が完遂した。その結果として、2.の研究を早期の段階から着手することが可能となった。また、2.の研究に関しても抗原-抗体反応を扱うのが初めてであったため、抗体の変性や特性などの情報を得るのに時間を要すると考えていたが、上手く進捗することができた。結果として、2.の研究に関しては、予定の7割程度の進捗を得ることが出来ており、次年度には確実に研究が完遂する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、本年度から変わらず、当初の予定通りで進捗させる予定である。理由としては、現時点の進捗は著しく、当初の予定の7割程度がすでに終了しているからである。研究が早く完遂した場合、新たにDNAの計測原理の確立に挑戦しようと計画をしている。
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