研究課題/領域番号 |
23K13773
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坂江 広基 金沢大学, 物質化学系, 助教 (00779895)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 液液界面 / 生体膜模倣界面 / 分光電気化学 / 細胞膜透過ペプチド / 薬剤キャリア / 分子包接 / アポフェリチン / 細胞膜透過性ペプチド / 分子キャリア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、(1)液液界面(ITIES)にリン脂質膜を展開した生体膜模倣界面をにおける分光電気化学的手法(PMF)によって、細胞膜透過性ペプチド(CPP)としての可能性を秘めたε-ポリ-L-リジン(εPL)の動的な膜透過反応機構を詳細に解明し制御する。(2)生体関連色素やモデルタンパク質、臨床利用を見据えた薬剤キャリアのεPL修飾体を作製し、PMF解析によって膜透過に対するεPLの効果を解明する。本研究は、薬効を向上させる新たなCPPの合理的な設計法の開発や、膜透過を可能にさせた新規の開閉制御型薬剤キャリアによる高機能なドラッグデリバリーシステム(DDS)の構築につながるものである。
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研究実績の概要 |
天然由来で生体毒性の無い細胞膜透過性ペプチド(CPP)であるε-ポリ-L-リジン(εPL)に蛍光性のカルボキシフルオレセイン(FAM)を修飾することで(εPL-FAM)分光電気化学測定を可能にし、εPL-FAMの水|1,2-ジクロロエタン(DCE)界面あるいはリン脂質膜を形成させた生体膜模倣界面における反応機構を、電位変調蛍光分光法で解析した。水|DCE界面と比較すると、生体膜模倣界面ではリン脂質膜との静電相互作用によって界面吸着し易く、そのため相間移動も促進されることが明らかとなった。従来から合成されているCPPであるオクタアルギニン(R8)を用いた比較研究では、R8の膜吸着性がεPLよりも高く、膜透過機構も両者で異なることが明らかとなった。さらに、高分子医薬品送達を志向して、通常は膜透過能を示さない蛍光性タンパク質の単量体アザミグリーン(mAG)にεPL修飾を施した(εPL-mAG)。εPL-mAGの膜透過を達成し、現在、その機構を分光電気化学的に研究している。 また、鉄貯蔵タンパク質であるアポフェリチン(AFt)の分子包接特性と界面反応機構を研究した。AFtによる難溶性薬剤の可溶化を達成し、薬剤包接AFtの界面反応機構も明らかにしつつある。一方で、AFtへのεPL修飾は難航しているため、より詳細な条件検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、計画していたεPLおよびεPL修飾タンパク質の膜反応の分光電気化学解析を達成し、それらとリン脂質膜との相互作用と膜透過機構を解明できた。また、AFtへのεPL修飾は難航しているが、AFtの包接特性を定量的に評価できた。得られた知見は、今後の開閉制御型薬剤キャリアの開発に応用できる。
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今後の研究の推進方策 |
より生体膜表面に近い界面で研究を行う。これまでの両性リン脂質膜にカチオン・アニオン性脂質を添加した生体膜模倣界面におけるεPLの反応特性を分光電気化学的に研究する。また、溶液中に含まれるイオンのサイズや親水・疎水性を変化させ、εPLの膜透過に及ぼす周辺環境の影響を精査する。 AFtへの包接法の最適化を検討する。酸・塩基反応によるケージ開閉による包接だけでなく、AFtの疎水性チャネルを利用した開閉を伴わない内部への輸送を試みる。薬剤内包AFtの薬剤放出能を定量的に評価し、AFtを薬剤キャリアとして利用する。他方、AFtへのεPL修飾も引き続き試みる。修飾が難航した場合は、生体関連色素やモデル高分子タンパク質へのεPL修飾を行い、AFtへのεPL修飾に対する知見を得る。モデル物質のεPL修飾体の界面反応機構を分光電気化学的に解明し制御することで、εPL修飾アポフェリチンの膜透過反応研究に応用できる知見を得る。
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