研究課題/領域番号 |
23K13779
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
赤柄 誠人 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特任助教 (50909736)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 光触媒 / 酸化ガリウム / 二酸化炭素還元 / メカニズム解明 / CO2還元 / 仕事関数 / 光析出法 / カーボンニュートラル |
研究開始時の研究の概要 |
現在進行している地球温暖化解決のため、原因である大気中CO2の削減が求められている。 解決策の一つに、光触媒を用いたCO2の還元がある。これは、太陽光などの光エネルギーを用いて、CO2と水のみを原料として有用な化学品を生成することが出来る、非常に有望な反応である。しかしながら、その反応メカニズムに未解明点が多いため、開発があまり進んでいない。そこで、「電気分解」や「半導体工学」で使われる考え方を「光触媒」の研究に持ち込むことによって、理論的にメカニズムを予想し、それを実証・応用する研究である。
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研究実績の概要 |
本研究は「水を電子源とした光触媒におけるCO2還元選択性を決める因子を解明する」ことを目指している。そのうえで大きくやるべきことは2つある。 ①金属酸化物光触媒と金属助触媒の相互作用にたいする仕事関数の影響調査 ②金属助触媒をもちいずにCO2還元可能な光触媒のCO2吸着特性調査 である。 本研究では、光触媒を用いたCO2還元のメカニズムとして「金属助触媒への電荷移動」と「金属助触媒のCO2吸着特性」が重要であると考えており、この二つを上記①および②の遂行によって検討する予定である。①について、光触媒の選定は実施済みであるが、実際の反応実験がやっとできるようになったタイミングであるため、予備実験および準備が終了した段階にとどまっている。②について、各種キャラクタリゼーションの実施による基本的なデータ取得はできているが、光触媒反応によるデータ取得も必要であり、これは実施できていない。半導体不足の影響による納品遅れや独自改造による不具合などの対応によって、反応実験装置の適正な運用が可能になったのがごく最近であるため、反応実験が必要な考察検討が出来ていない。遅れている理由の詳細については【現在までの進捗情報】にて述べる。以上の進展の遅れを踏まえ、一部新たに実験計画を立案してある。詳細については【今後の研究の推進方策】にて述べる。 以上を踏まえ、本研究の進行度は、もともと目指していた研究進捗を100%、とすると20%程度に留まるが、以下に示す新たな実験計画を用いてリスクヘッジすることで、最低限2報の論文を執筆できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現状、予定している内容に対して大幅な遅れが生じている。最も大きな理由はコロナの影響の余波による半導体不足に端を発した購入品の遅れにある。本科研費の利用の最大の理由である「光触媒反応系」の構築に必須である「独自改造ガスクロマトグラフィー装置」と「300Wキセノンランプ光源」の納品日がそれぞれ9月および10月と遅く、特に光源については初期に予想していた6月から大幅に遅れてしまったため、手元にあったガスクロを利用した一時的な仮分析もできない状況であった。 加えて、到着したガスクロが改造品かつ、申請者が過去に扱った型の新型であることに起因する「分離能の悪さ」について原因の究明が遅れ、結果的に3月いっぱいまで適切な「光触媒反応実験」の実施が出来なかった。 また、当初申請時に想定していたエフォートを確保できなかったため、進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
前述したとおり、本研究の最も重要な調査項目は、 ①金属酸化物光触媒と金属助触媒の相互作用にたいする仕事関数の影響調査 ②金属助触媒をもちいずにCO2還元可能な光触媒のCO2吸着特性調査 の2点である。 ①について、追加の光触媒調製を実施し、反応実験が不要なデータを用いてメカニズムに関する検討を実施する。具体的には、(i)光触媒調製、SEMによる形態観察をメインとする解析で、仕事関数の影響を調整された光触媒粒子の粒形分布によって検討する。これと同時進行で時間のかかる光触媒反応を実施することで、本年度中に研究を進め、年度末の「日本化学会」等で発表する計画である。②についてもエフォートの範囲内で同時進行し、年度末の学会の発表内容に組み込むことを考えている。①及び②でそれぞれ論文を執筆予定であるが、これに関しては年度内にsubmitを目指している。今のところ、反応実験において予想通りの結果が得られないというトラブルを想定しており、この場合でも(i)の方策であれば予定していた①の検討は最低限確実に遂行できると考えている。②については、最低限必要な反応実験の実施回数がおおよそ15-30回程度であり、1.5カ月程度で遂行可能かつ、慣れた触媒系であるため予想外のトラブルは少なく、予定通り遂行できると考えている。
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