研究課題/領域番号 |
23K13792
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 大展 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30912357)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高分子合成 / ラジカル共重合 / ヘテロ原子 / 分解性ポリマー / チオカルボニル / イミン / カルボニル / 重合反応 / ラジカル重合 / 分解性 / リビング重合 / 重合反応設計 |
研究開始時の研究の概要 |
ビニルポリマーの主鎖にヘテロ原子を自在に組み込む手法の創出は、生体高分子に見られるような分解性や高い機能性をもつ合成高分子を開発する上で重要である。本研究では、汎用性が高く学術的・工業的に広く用いられるラジカル重合により、C=S、C=N、C=Oなどの炭素-ヘテロ原子二重結合を重合する新たな手法の開発を行う。これにより主鎖にヘテロ原子を導入した多様なポリマーの合成を目指す。
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研究実績の概要 |
高分子合成法の中でもラジカル重合は学術的・工業的に広く用いられ、C=C二重結合を有するさまざまなビニルモノマーを重合可能である一方、主鎖へのヘテロ原子の導入法は限られる。本研究では、C=S、C=N、C=Oなどの炭素-ヘテロ原子二重結合のラジカル重合系を開発し、主鎖にヘテロ原子をもつ多様な高分子の合成を検討している。本年度はおもに以下の点について研究を進めた。 (1)C=S二重結合を持つチオアミドについて、多様な置換基を有するチオアミドモノマーを設計・合成し、種々のビニルモノマーのC=C二重結合との直接共重合を検討した。その結果、チオアミドの置換基に応じて重合反応性が大きく変化することを見出した。また、得られたポリマーは主鎖に硫黄原子を有し、その分解性や物性は側鎖の置換基に応じて変化した。生成する共重合体は通常のビニルポリマーと異なる溶解性等の性質を示すことがわかった。 (2)C=N二重結合を持つ種々の化合物を合成し、これをモノマーとするラジカル重合の開発を行った。モノマーの置換基に応じて重合挙動が変化し、得られたポリマーは分解性を示すことが明らかになった。 (3)C=O二重結合のラジカル重合により主鎖に酸素原子を有するポリマーの合成が可能であることを見出した。さらに、得られたポリマーは特異な熱物性を示した。 また、これら(1)から(3)の検討において、計算化学と組み合わせることで反応機構についてより詳細な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度検討した上記の研究はいずれも順調に進行した。さらに、生成ポリマーの性質などについて、興味深い結果が多数得られた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、炭素-ヘテロ原子二重結合のラジカル重合について検討を行うとともに、生成する主鎖にヘテロ原子を有するポリマーの性質を調べる。 C=S二重結合のラジカル重合については、種々の置換基を有するチオカルボニル化合物とビニルモノマーの共重合によって多様な共重合体を合成し、その性質を調べる。とくに、側鎖の置換基が重合挙動、分解性、物性に与える影響について、より詳細な検討を行う。 C=N二重結合の重合について、側鎖の置換基構造と、モノマーの反応性および生成するラジカルの反応性の関係について系統的な検討を行う。また、生成ポリマーの分解性や、分解機構についてより詳細に調べる。 C=O二重結合のラジカル重合については、種々のビニルモノマーとの共重合を行い、種々の重合条件下での生成ポリマーの分子量や組成を検討する。また、得られるポリマーが示す物性についてより詳しい測定を行う。
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