研究課題/領域番号 |
23K13801
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黄瀬 雄司 京都大学, 化学研究所, 助教 (00946676)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | セルロースナノクリスタル / ポリマーブラシ / 還元性末端 / 位置選択性 / 制御ラジカル重合 / 微粒子 / 非対称性 / 秩序構造 / エントロピー駆動 |
研究開始時の研究の概要 |
コロイド粒子による秩序構造は様々な特性・機能を発現するため、その制御や形成機構の理解は重要な研究課題である。これまで、高密度なポリマーブラシ(濃厚ポリマーブラシ;CPB)が均一に導入された複合微粒子の高濃度分散液が、CPBの高反発特性、低摩擦特性により、粒子の形状に応じた秩序構造(コロイド結晶や液晶)へと自発的に相転移することが見出されている。本研究では、棒状微粒子に付与するCPBの鎖長を非対称とした新たな設計のポリマーブラシ付与棒状微粒による秩序構造の探索を目指す。具体的には、セルロース微結晶を用いた非対称性ブラシ付与CNCの合成経路を確立し、その濃厚分散液による新規秩序構造の形成を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、セルロースナノクリスタル(CNC)の片末端とその他の表面水酸基に位置選択的に異なる分子量のポリマーブラシを導入した微粒子(非対称的ブラシ付与CNC)の合成経路の開発に注力した。系統的な非対称的ブラシ付与CNCの合成のため、異なる活性化機構を有する二種の制御ラジカル重合性官能基が位置選択的に付与されたCNC誘導体(CNC二官能性開始剤)を起点とし、続くグラフティング-フロム法により逐次ポリマーブラシを導入する合成戦略を検討し、以下の成果を得た。 [1]CNCの片末端(還元性末端)にヘミアセタール構造が集積していることに着目し、還元性末端の還元的アミノ化を経由した一種目の重合性官能基の導入、続いてCNCの表面水酸基のエステル化による二種目の重合性官能基の導入を行い、CNC二官能性開始剤を合成した。[2]中間体の分析結果も併せて、CNC二官能性開始剤は高い密度で重合性官能基を有するCNC誘導体であることが示唆された。 CNC二官能性開始剤を開始剤、メチルメタクリレートをモノマーとした二種の制御ラジカル重合を逐次行うことで、比較的表面占有率が高く、分子量の異なるブラシが位置選択的に導入された非対称的ブラシ付与CNCの合成に成功した。 [3]非対称的ブラシ付与CNCを有機溶媒中に分散後、空気/水界面に展開することで得た単分子膜を観察し、粒子が凝集していないことを確認した。 以上より、本研究で開発された非対称的ブラシ付与CNCの合成経路は、異なる特性を有するブラシの系統的な付与が可能であり、今後の秩序構造の探索に向けて有用であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は秩序構造のビルディングブロックとしての活用を目指した非対称的ブラシ付与CNCの合成経路の開拓であった。系統的なブラシの付与を二種の制御ラジカル重合の逐次実施により実現すべく、位置選択的に重合性官能基を付与したCNC二官能性開始剤を合成した。実際、これを用いて、分子量が異なるポリマーが導入された非対称的ブラシ付与CNCの合成が可能であることを実証している。また、この開始剤は異種の化学特性を有するポリマーを導入した非対称的ブラシ付与CNCの合成にも活用できると考えられ、概ね計画通りに進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、分子量の異なるポリマーブラシを付与した非対称的ブラシ付与CNCの合成に成功した。次年度以降はこれを用いた秩序構造の探索に向け、少量のサンプルで実施が可能な水/空気界面における単分子膜での秩序構造の探索を行う。同時に、同じくCNC二官能性開始剤を出発原料とし、異種の化学特性を有するブラシを付与した非対称的CNC誘導体を合成し、ブラシの位置選択性の可視化、および斥力だけでなく引力相互作用も駆動力とした秩序構造の創製も試みる予定である。
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