研究課題/領域番号 |
23K13803
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
奥野 陽太 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (60964814)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ペプトイド / ペプチド / コアセルベート / タンパク質 / DDS / ドラッグキャリア / 内包 / 分子集合体 / 糖鎖含有高分子 / 生体適合性高分子 / 薬剤送達システム / ペプチド薬 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代医薬品であるペプチド薬の弱点は体内で容易に分解されることである。これまでリポソーム等に内包することで安定化が模索されたが内包効率が非常に低かった。近年申請者は、生分解性高分子(ポリサルコシン)と糖鎖の結合体が、水素結合を駆動力として水中でナノサイズの分子集合体を形成することを見出した。ペプチドは水素結合を形成するアミド結合を多数持つため、この集合体への効率的な内包が期待される。さらに、ポリサルコシンと糖鎖の結合部分に酸応答性乖離基を導入しておくことで、ペプチド薬を内包した本集合体ががん近傍の局所的酸環境に応答することで崩壊し、ペプチド薬を放出するスマート薬剤送達システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、ペプトイドを構成要素とする分子集合体を作製し、水素結合を介してペプチド薬を高効率で取り込めるドラッグキャリアを作製する。全てのペプチドはアミド結合を有しているため水素結合を取り込み駆動力とするキャリアを作製できれば、高効率でペプチド薬剤を内包できると期待される。これにより現在のドラッグキャリアの課題である内包効率の低さを克服することを目標とする。 本年度はマルトオリゴ糖とポリサルコシンから成る両親水性ブロックコポリマーを合成、これを用いてコアセルベートを作製しタンパク質取り込み効率及び内包安定性の評価を行った。結果、マルトトリオースとポリサルコシンから成る両親水性ブロックコポリマーは粒径数百nmの微細な会合体を形成した。動的光散乱測定によりこの球状体の流体力学的サイズは数百nmであるとわかり、TEM測定から本会合体は膜を持たないコアセルベートであることを確認した。そこで、モデルタンパク質である蛍光修飾したペルオキシダーゼの内包化に取り組んだ。手法としては両親水性ブロックコポリマー薄膜にペルオキシダーゼ緩衝水溶液を添加した後静置するだけの極めて簡便な方法である。サイズ排除クロマトグラフィーによる分離から内包効率は30%と期待通りの高効率であった。異なるタンパク質を用いた場合でも同様に高効率で内包できるのかを確認するため牛血清アルブミンで評価をしたところやはり内包効率は30%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、両親水性ブロックコポリマーからコアセルベートを形成させ、その内部に高効率でタンパク質を内包できたため、本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本コアセルベートは希釈に対しての安定性がそれほど高くないことが判明している。実用的なドラッグキャリア開発のために、ペプトイドの分子設計により安定性の向上を図る。
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