研究課題/領域番号 |
23K13812
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米里 健太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20912348)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 無機化学 / ポリオキソメタレート / 金属ナノクラスター / 触媒材料 |
研究開始時の研究の概要 |
10-100個程度の金属原子が集合した金属ナノクラスターは、金属原子の数や種類、電子数によって様々な物理化学特性を示す。当研究グループは、これまでにタングステン酸化物クラスターを分子サイズの鋳型として利用することで、微小な銀ナノクラスターを原子レベルで精密に合成することに成功し、さらに銀ナノクラスターとタングステン酸化物を組み合わせることで高い安定性や光応答性、触媒機能などを実現できることを明らかにした。本研究では、まずタングステン酸化物クラスター上に様々な金属イオンを導入し、さらに固相状態で還元することで、様々な金属元素のナノクラスターを合成する新しい手法を開発し、その機能を探索する。
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研究実績の概要 |
10-100個程度の金属原子が集合した金属ナノクラスターは、金属原子の数や種類、電子数によって様々な物理化学特性を示す。当研究グループは、これまでにタングステン酸化物クラスターを分子サイズの鋳型として利用することで、微小な銀ナノクラスターを原子レベルで精密に合成することに成功し、さらに銀ナノクラスターとタングステン酸化物を組み合わせることで高い安定性や光応答性、触媒機能などを実現できることを明らかにした。そこで、ポリオキソメタレートを鋳型として、銀以外にも様々な金属種からナノクラスターを合成することができれば、さらに触媒材料、光学材料など幅広い応用が期待される。 これまでにポリオキソメタレートを鋳型に用いた銀ナノクラスターの合成では、有機溶媒中でポリオキソメタレート、銀イオン、還元剤を反応させることで、有機溶媒中で銀イオンが還元されながら集合することで銀ナノクラスター構造を形成していると考えられる。しかし、例えば銅ナノクラスター構造は銀ナノクラスターより極めて不安定であり、同様に有機溶媒中で銅イオンやポリオキソメタレートを還元した場合には、容易に分解や無秩序な銅原子の集合が起こるため、銅ナノクラスターのサイズ、または構成する銅原子の数を制御することが困難である。 そこで本研究では、まず環状ポリオキソメタレートの内部の空隙に、予め銅原子を導入し、これを固相状態で還元することによって、環状ポリオキソメタレート内部に極めて微小な銅ナノクラスター構造を合成する手法を開発した。形成する銅ナノクラスターの原子数は、予めポリオキソメタレートに導入する銅イオン数によって制御可能であり、可逆な酸化還元特性を示した。さらに、開発した銅ナノクラスターとポリオキソメタレートの複合材料を水素化触媒として利用できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、環状ポリオキソメタレートをナノサイズの反応容器として用いて、予め銅イオン数を制御して内部の空隙に導入し、これを前駆体として固相還元することによって、溶液中で合成困難な微小な銅ナノクラスター構造を得ることに成功している。また、その形成過程を種々の分光法やX線吸収微細構造法によって詳らかにすることに成功するとともに、その触媒機能を明らかにした。本成果は既に学術誌に掲載が決定しており、非常に順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を基盤に、さらに多様な金属ナノクラスターの合成とその応用を検討する。既に予備的な検討により、同様の手法によってナノクラスターを形成し得るいくつかの金属元素が見出されている。これらの元素をはじめ、種々の金属元素について、まず環状ポリオキソメタレート内部に金属イオン数を精密に制御しながら集積させた前駆体を合成し、得られた前駆体を固相還元することによってサイズを制御したナノクラスターの開発を検討する。得られた金属ナノクラスターの構造や電子状態は各種分光法、X線微細構造法によって明らかにする。さらに、本手法を応用した担持ナノクラスター材料の開発及び触媒機能を探索する。
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