研究課題/領域番号 |
23K13831
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
我部 篤 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (10840142)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エネルギー材料 / 炭素材料 / 触媒反応 / アクティブサイト / 含酸素官能基 |
研究開始時の研究の概要 |
アクティブサイトとは、炭素のエッジ面に存在する含酸素官能基が熱分解した後に形成される非常に反応性が高い反応場であり、多くの化学反応や新規ナノ炭素合成においても重要な因子になると考えられている。従って炭素を利用した新しい効率的な触媒を開発するためには、アクティブサイトの生成を制御することが重要である。しかしアクティブサイトの生成条件やその形状、および触媒活性との関連など、アクティブサイトに関して不明瞭な点が多い。本研究の目的は炭素のエッジ面および基底面でのアクティブサイトの生成条件を明らかにし、アクティブサイトの析出面の形状と様々な触媒活性との関連を探ることである。
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研究実績の概要 |
アクティブサイトとは、炭素のエッジ面に存在する含酸素官能基(OFGs)が熱分解した後に形成される非常に反応性が高い反応場であり、多くの化学反応や新規ナノ炭素合成においても重要な因子になると考えられている。従って炭素を利用した新しい効率的な触媒を開発するためには、アクティブサイトの生成を制御することが重要である。しかしアクティブサイトの生成条件やその形状、および触媒活性との関連など、アクティブサイトに関して不明瞭な点が多い。本研究の目的は炭素のエッジ面および基底面でのアクティブサイトの生成条件を明らかにし、アクティブサイトの析出面の形状と様々な触媒活性との関連を探ることである。アクティブサイトの生成条件や形状、およびその活性度を解明することで、関与する触媒反応に応じた炭素の最適設計が可能になり、次世代のエネルギー材料の開発に繋げることが可能である。 研究初年度は未処理の活性炭および液相酸化によりOFGsを導入した試料のTPD/TPR分析で得られたガス発生速度プロファイルからアクティブサイトの析出条件を明らかにした。雰囲気H2ガスの試料前後におけるH2濃度を厳密に分析することでH2ガスの消費量を算出し、更に関与する反応から炭素に化学吸着した水素を定量することでアクティブサイトの生成を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
含有しているOFGs量が大きく異なる試料について1273 Kまでに熱分解するOFGsの量は雰囲気ガスが不活性および還元雰囲気でも一定値を示した。これらの知見を基に物質収支から還元雰囲気におけるOFGsの熱分解挙動を明らかにし、析出したアクティブサイトの定量を試みた。炭素表面に存在するCOとして熱分解するOFGsは雰囲気ガスにH2が存在する時H2Oを生成する(C(O) + H2 → H2O peak 2 + free sites )。更に生成されたH2OはCOとして熱分解するOFGsと2次反応を進行し900 K付近でCO2を生成することを見出した(C(O) + H2O →CO2 + H2+ free sites)。結果的に炭素のアクティブサイトは700~900K付近でOFGsがCOまたはCO2として熱分解することで析出されることを定量的に見出した。これらの温度域で熱分解するOFGsは炭素のエッジ面に存在するフェノールまたはエーテル基であると考えられアクティブサイトはこれらの官能基のどちらかによる熱分解で生成されると推察された。得られたガス発生速度プロファイルから900 K以上での温度域では水素の化学吸着が発生していないことから、段階的に熱処理された試料におけるアクティブサイトの析出についても調査した。還元雰囲気で炭素の表面化学を調製しORR触媒を調製した。ORR電流値はOFGsの量や残存する官能基の種類に加えて炭素表面の疎水性/親水性能も活性に影響を及ぼすことを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに分析で用いてきた活性炭やカーボンブラックに加えて鋳型炭素や酸化グラフェン、鋳型炭素/酸化グラフェンの複合体をはじめとした規則的な構造を保持している試料について同様に評価を進めていく。活性点の不活性化に関する調査も今後進めていく予定である。アクティブサイトの析出条件や析出面の形状が明らかになった後にORRやガス化反応等の触媒反応実験を進めアクティブサイトとの関連を探り、各反応における触媒材料の最適な設計指標を明らかにしていく。
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