研究課題/領域番号 |
23K13836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
沓澤 大 一般財団法人電力中央研究所, エネルギートランスフォーメーション研究本部, 主任研究員 (40898037)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 全固体電池 / 酸化物 / 低温焼結 / 低温作製 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化物型全固体電池は高安全な次世代蓄電池として期待されているが、低温での界面形成の困難さが実用化の大きな課題である。本研究では、申請者が新たに見出した焼結助剤をもとに、1)焼結過程における焼結助剤の機能解明、2)酸化物型全固体ナトリウムイオン電池の作製温度の更なる低温下を実現することで、酸化物型全固体ナトリウムイオン電池の実用化に寄与する要素技術を確立する。
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研究実績の概要 |
酸化物型全固体電池は高安全な次世代蓄電池として期待されているが、良好な界面形成が困難であることが実用化の大きな課題である。すなわち、作製時の焼結プロセスにおいて、低温焼結では空隙により電気抵抗が増大し、高温焼結では材料の分解によって電池容量が低減するため、材料分解が起きない程度の低温で空隙の少ない焼結を達成する必要がある。申請者はこれまで、水和物焼結助剤を用いることで600℃という低温で電池作製が可能な手法を提案してきた。本研究では、申請者が見出した水和物焼結助剤をもとに、低温焼結機構の解明および酸化物型全固体電池の作製温度の更なる低温下を目指す。 本年度では、光学顕微鏡でその場観察しながら高速昇温が可能な装置を導入し、これまで申請者が報告してきた焼結助剤について、焼結その場観察を行うことで焼結機構の解明を試みた。水和物焼結助剤を酸化物固体電解質に混合しプレス成型した試料を、電池の焼結条件を模倣した昇温条件で高速昇温した際の試料の形態変化を観察した。結果、50℃程度で焼結助剤が溶け出し、更なる昇温によって固化する様子が観察され、焼結助剤の水和溶解によって形成された液体相が低温焼結を促していることが示唆された。 また、焼結助剤のみを焼結その場観察したところ、溶解および再固化を経ることで、内部に気泡を含んだ多孔質状形態を有することが示された。これは、水和水の蒸発によるガス発生によるものと考えられ、水和物焼結助剤を有効に活用するためには試料内部からの脱ガスが重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
焼結のその場観察に成功し、水和溶解が酸化物固体電解質の低温焼結を促していることが示唆される結果を得ており、当所の予定通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き焼結その場観察を行うとともに、得られた試料の組成分布を測定することで、焼結助剤と固体電解質の分布がイオン伝導率に与える影響を調べる。また、新規焼結助剤の候補物質を選定し、更なる低温焼結を試みる。
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