研究課題
若手研究
生体内環境は多くの化学種が多様な化学反応を引き起こす複雑な夾雑系であり、それぞれの分子の構造分布を明らかにすることは生命活動の理解につながると考えられる。電子スピンの分極を利用する動的核分極(DNP)-NMR法は通常のNMRと比べて原理的には約660倍の感度利得を得ることができるが、有機ラジカルを用いたDNP分極剤は、その反応性の高さから化学反応系中の直接観測には不適であった。本研究では、高い安定性を有する新奇DNP分極剤と選択的に高感度化する手法を確立し、脂質過酸化反応中における生体膜および膜タンパク質の分子構造の分布の経時変化の直接観測を目指す。