研究課題/領域番号 |
23K13843
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 英太郎 大阪大学, 産業科学研究所, 特任研究員(常勤) (60963048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | R-loop / 次世代シーケンシング / 塩基修飾 / 核酸化学 |
研究開始時の研究の概要 |
R-loopは、二本鎖DNAとRNAとの複合体構造である。R-loopはさまざまな生体内機能を担うことや異常形成により疾患発症を誘導することが知られている。これまでにゲノム上のR-loop形成箇所が調べられているが、マッピングデータの不明瞭さがR-loopに関する研究を進める上で課題となっている。本研究では、抗体や酵素の認識に依存しない核酸塩基に対する化学反応による高解像度なR-loopの検出技術の開発を提案する。「化学反応によるR-loopの核内検出方法の確立」を目的とし、1. R-loop検出手法の確立、2. R-loop形成情報の獲得を実施することで、R-loop形成領域の高解像度ゲノムマッピングを目指す。
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研究実績の概要 |
転写時に形成する二重鎖DNAの片方の鎖にRNA鎖がアニーリングしてできる3本鎖の核酸構造R-loopは、遺伝子発現における特徴的な構造因子として注目されている。異常な形成や修復酵素や低分子による摂動が、ゲノム不安定化や疾患の原因となることが示されている。一方で、ゲノムの形成箇所を調べたR-loopマッピングデータの検出感度や精度が不十分なため、「正常な」また「有害な」R-loopを定義することはできていない。R-loop研究を進展させるためには、高解像度なゲノムR-loop検出手法が必要である。本研究は「化学反応によるR-loopの核内検出方法」を確立し、R-loop形成領域の高解像度ゲノムマッピングを目指す。 本研究では、1. R-loop検出手法の確立、2. R-loop形成情報の獲得を実施し、研究期間内に化学反応によるR-loopの核内検出方法を確立する。本年度は、「1. R-loop検出手法の確立」における核内一本鎖DNAへの核酸塩基反応の探索の基盤となる、R-loopの一本鎖DNAのアデニン、グアニン、及びシトシンと反応する報告があるchloroacetaldehydeを用いた評価系の構築や人工的なR-loopの形成条件の検討を実施した。二本鎖領域及び一本鎖領域におけるchloroacetaldehydeの反応をHPLCで追跡し、反応後の安定性を二本鎖融解温度測定を用いて評価した。また、人工的なR-loopの形成条件を検討し、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動ではR-loopの形成が示唆される結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1. R-loop検出手法の確立」で、核内一本鎖DNAへの核酸塩基反応の探索の基盤となる核酸に対する反応の評価系の構築と化学反応の対象となる人工的なR-loopの形成条件の検討を実施した。HPLCを用いてchloroacetaldehydeの二本鎖領域及び一本鎖領域への反応を追跡し、反応後の安定性を二本鎖融解温度測定により評価した。また、検討した条件下においてR-loopの形成が非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって示唆された。さらに、一本鎖の塩基と反応可能な数十種類の反応剤を選定している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえて、人工的なR-loopの形成を証明する。また、chloroacetaldehydeを用いて、検出に必要なqPCRストップアッセイやバイサルファイト法の条件を検討し、選定した反応剤の反応性を評価する。続いて、選定された反応剤の細胞核内における検出可能性を明らかにする予定である。
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