研究課題/領域番号 |
23K13867
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
今井 優 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (20964042)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 線虫共生細菌 / 難培養性微生物 / 抗生物質探索 / 動物共生微生物 / 線虫共生微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性菌の出現が大きな社会問題となっている。従来の抗生物質探索研究では, 放線菌など限られた微生物が利用されてきたが, 本研究では, 動物共生微生物 (線虫共生微生物など) や難培養性微生物といった, これまで抗生物質の探索源として見落とされていた微生物を活用した抗生物質探索研究を実施する。また, 種特異的な活性を指標としたスクリーニング系を構築することで, 広域スペクトル抗生物質に潜在する問題点 (ヒト腸内細菌叢の撹乱や, 対象外の細菌からの薬剤耐性変異株の誘発など) をクリアした選択性の高い抗生物質を探索する。そのため本研究から発見される抗生物質は, 医薬リードとしての展開が期待できる。
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研究実績の概要 |
近年新しい抗生物質の探索源として, Photorhabdus 属細菌をはじめとする線虫共生細菌や, 難培養性微生物が注目されている。本研究では環境中からこれら微生物を分離し, 医薬リード様の特性を示す抗生物質 (種特異的活性を示し, ヒト腸内細菌叢に影響を及ぼさない抗生物質) の探索研究へと利用した。これまでに環境中から 139 菌株の線虫共生細菌を分離し, ライブラリー化している。これら分離株と, カルチャーコレクションから分譲を受けた Photorhabdua 属細菌およびその近縁種である Xenorhabdus 属細菌 (合計 118 菌株) を 8-16 種類の液体培地で培養し, 合計 1520 の液体培養物を調製している。これらを大腸菌, 緑膿菌, アシネトバクター・バウマニおよび黄色ブドウ球菌を対象とした抗菌活性試験に供し, 各病原菌に特異的な活性を示す培養物をそれぞれ, 1, 7, 6, 54 サンプル見出している。難培養性微生物の分離においては, 環境中で微生物の純粋培養を可能とする in situ 培養器 iChip を 3D プリンターにより作製した。長野県内から回収した土壌サンプル中の微生物を iChip を用いて培養し, これまでに 104 菌株の細菌を単離している。その中には既知細菌との16S rRNA 遺伝子の相同性が 97% の新種の細菌や, 属としての報告が数例しかない希少放線菌 Phytomonospora sp. UIM0029 も含まれていた。また Phytomonospora sp. UIM0029 の全ゲノム配列を取得し, antiSMASH によりゲノム中の二次代謝産物生合成遺伝子クラスター (BGC) を解析したところ, 14 種存在する BGC の内の 8 種が, 既知のものとの相同性が 21% 以下であることが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線虫共生細菌においては, これまでに大腸菌, 緑膿菌, アシネトバクター・バウマニおよび黄色ブドウ球菌など, 近年薬剤耐性化が懸念されている病原菌に対して選択的な活性を示す抗生物質のスクリーニングを行い, 特定の病原菌にのみ活性を示す培養物が合計 68 サンプル存在することを見出した。またこれに加え, ダロバクチン (グラム陰性細菌に特異的な活性を示す抗生物質) 生産菌である Photorhabdus khanii 培養物中から緑膿菌に活性を示す新規化合物 ADC58 を単離している。難培養性微生物においては, 3D プリンターにより iChip を設計するとともに, 実際に iChip を利用することで, 既知の細菌との 16S rRNA 遺伝子の相同性が低い細菌を多数取得することに成功している。また iChip から分離された希少放線菌 Phytomonospora sp. UIM029 は既知の二次代謝産物生合成遺伝子クラスター (BGC) とは相同性が低い BGC を多数有していることから, 同菌から新しい抗生物質を発見できる可能性が高いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は線虫共生細菌および難培養性微生物ともに, 更なるライブラリーの拡張と, スクリーニングを進めていく予定である。また種特異的な活性が認められた培養サンプルに関しては, 再現性を確認し, 順次活性物質を単離していく。
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