研究課題/領域番号 |
23K13879
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
河合 繁 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (00900060)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 光合成細菌 / バクテリオクロロフィル / 色素 / 環境応答 / 色素分解 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
クロロフィルは植物クロロフィルと光合成細菌が持つ細菌型クロロフィル(バクテリオクロロフィル)が大別される。アンテナ色素として光合成タンパク質に結合するクロロフィルは遊離した状態にあると活性酸素種の生成の原因となり危険なため、植物などではクロロフィルを必要に応じて合成・分解することが知られている。一方で化学構造が異なるバクテリオクロロフィルがどのように分解されているのかについて知見はほとんどない。本研究ではクロロフィルが必要・不要の両条件で増殖する光合成細菌を用いてバクテリオクロロフィルの分解機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、光合成細菌が持つ細菌型クロロフィル(バクテリオクロロフィル)分解機構を明らかにすることを目的としている。光合成細菌は嫌気条件で光合成を行う特徴があり、好気条件では光毒性を回避するためバクテリオクロロフィルを作らず呼吸により生育する。光合成細菌は好気・嫌気が入り混じる環境に生育しており、バクテリオクロロフィルを合成・分解を制御して光毒性を回避していると考えられる。バクテリオクロロフィルの「合成」に関する制御については多くの知見があり、光の色や酸素を感知して転写・翻訳レベルでコントロールすることが知られる。一方で「分解」に関しては、植物などの好気条件で光合成を行う生物に幅広く見られるクロロフィル分解酵素群(クロロフィラーゼなど)の酵素ホモログが、光合成細菌には見つかっておらず、分解機構の実態はいまだよくわかっていない。本研究では「1.光合成細菌の非光合成化プロセスにおける遺伝子発現と色素組成の解析」、「2.バクテリオクロロフィル分解酵素の同定と性質解析」を通じて、光合成細菌の好気環境への環境適応機構を明らかにする。 今年度では、1の遺伝子発現解析を中心に研究を行い、プロテオーム解析を用いて非光合成条件に暴露したときに発現が変化するタンパク質群を見出した。今後はバクテリオクロロフィルを直接分解する遺伝子の探索・同定に着手する。それにより、酸素濃度の変化に対する光合成細菌の環境応答機構の一端を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光合成細菌は嫌気条件でのみ光合成を行い、好気条件では呼吸で増殖することが知られている。今年度は、モデル光合成細菌であるRhodobacter capsulatusを用いて、嫌気・光条件(光合成条件)から好気・光条件(非光合成条件)に移したときのタンパク質発現動態を解析した。その結果、酸素に暴露されるとすぐに、活性酸素除去に関連するタンパク質の発現量が急激に増加した。また、同様の酸素応答性を示す複数の機能未知タンパク質を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
他のモデル光合成細菌も非光合成化に関わる遺伝子を発現変動解析から探索し、R. capsulatusの遺伝子と比較検討を行う。また細胞の色素分析をすすめ、非光合成化プロセスにおけるバクテリオクロロフィル分解物の検出を試みる。遺伝子発現とバクテリオクロロフィル分解物の検出パターンからバクテリオクロロフィルの分解に関わる候補遺伝子を探索する。絞り込んだ遺伝子について異種発現系を用いて目的タンパク質を精製し、バクテリオクロロフィル分解活性を評価する。
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