研究課題/領域番号 |
23K13885
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
秋山 遼太 神戸大学, 農学研究科, 学術研究員 (80882505)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ジャガイモシストセンチュウ / 孵化促進物質 / トマト / シストセンチュウ / ジャガイモ |
研究開始時の研究の概要 |
孵化促進物質(Hatching Factor: HF)は作物の根に寄生して大幅な減収を引き起こす最重要害虫であるシストセンチュウの孵化を誘引する化合物である。植物はなぜ一見自身の生存戦略上不利益となるHFを生産するのだろうか? 本研究では①植物におけるHF生産の変動条件の解析、②HF生合成欠損変異体の表現の解析、③HFが根土壌に及ぼす液用の解析、の3つの項目について研究を行う。以上の研究を通じてHFが植物にとって果たす真の生理活性の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
シストセンチュウ孵化促進物質はシストセンチュウの孵化を誘導する化合物である。現在までに、知られている唯一の生物活性はシストセンチュウを孵化させるという植物にとって不利な機能のみである。本研究はシストセンチュウ孵化促進物質の植物にとっての機能を明らかにすることを目的としている。本年度はHF生産が変動する条件の解析を実施した。まず、トマト毛状根に様々な植物ホルモンを投与を行った。その結果、いくつかの植物ホルモンの処理によって孵化促進物質生合成遺伝子の発現量が低下が確認された。次に、トマト植物体を様々な栄養条件で水耕栽培を行いそれぞれの根における孵化促進物質生合成遺伝子の発現を解析した。その結果、窒素欠乏条件において孵化促進物質生合成遺伝子の発現が誘導されることを明らかにした。それぞれの水耕液のLC-MS/MS分析を行った結果、窒素欠乏条件で実際に孵化促進物質の生産量が増加することを明らかにした。 ゲノム編集により作出した孵化促進物質生合成遺伝子ノックアウトトマト(koトマト)2系統(それぞれ別の遺伝子のノックアウトトマト)と非形質転換トマト水耕栽培し、それぞれの培地のLC-MS/MS分析を行った結果、koトマトにおいて孵化促進物質の生産が消失することを確認した。また、それぞれのトマトを富栄養条件で土耕栽培し、形態の観察を行った。その結果、顕著な生育の差異は認められず、種子の生産等においても大きな異常がないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、孵化促進物質の生産変動条件の解析を行った結果、窒素欠乏条件で孵化促進物質の生産が誘導されることを見出した。また、孵化促進物質生合成遺伝子ノックアウトトマトにおいて、実際にHF生産が消失することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)孵化促進物質生合成欠損植物の解析について、本年度の実験開始時点では孵化促進物質生合成の誘導条件が分かっていなかったため、富栄養条件での形態観察を行った。今後は栄養欠乏などの処理を加えてより詳細な形態の観察を行う。(2)孵化促進物質が根圏微生物叢に及ぼす影響の解析について、上記と同様に非形質転換トマトと孵化促進物質生合成欠損植物を様々な栄養条件で栽培し、根圏土壌からDNAを抽出し16S rRNA菌叢解析を行い、それぞれの菌叢を比較解析する。
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