研究課題/領域番号 |
23K13887
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
藤浪 大輔 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50805364)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 蛋白質工学 / 糖鎖修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
糖鎖修飾はタンパク質の生物活性や安定性に寄与する。本研究では、細菌に由来する糖転移酵素を用いることで、哺乳類には存在しないシステイン糖鎖修飾をタンパク質に施す。ある糖転移酵素群について、生化学的実験により糖タンパク質工学的に有用な酵素を探索する。また酵素中の触媒残基を非典型アミノ酸へ変異させることで、セリン/スレオニン糖転移酵素をシステイン特異的な糖転移酵素に改変する。得られた糖転移酵素は糖タンパク質医薬品の高機能化に寄与する。
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研究実績の概要 |
翻訳後修飾の一つである糖鎖修飾はタンパク質の機能や安定性に寄与する。システインの側鎖にあるチオール基硫黄へ結合したS型糖鎖は、セリンまたはスレオニンの水酸基酸素に結合したO型糖鎖に比べて高い体内安定性や高生物活性を示す。S型糖鎖の化学合成において、S-Cグリコシド結合の立体制御が煩雑である。そこで申請者は酵素学的な手法により、S型糖鎖の効率的な調製を目指す。 酵素学的なS型糖鎖の調製に用いるための酵素を、ゲノムマイニングにより探索した。その結果、細菌Paenibacillus alvei に由来する糖転移酵素FlgGT1を発見した。生化学的な解析によりFlgGT1が鞭毛構成蛋白質であるHagを糖鎖修飾することが明らかになった。また、FlgGT1は様々な糖ヌクレオチドに対して広いドナー基質特異性を示すことが明らかになった。この性質は将来的な糖タンパク質工学において有用である。 FlgGT1のアクセプター基質特異性について、Hag変異体を用いてin vitroで評価した。その結果、FlgGT1がセリンまたはスレオニンの水酸基を標的とするO型糖転移酵素であることが明らかになった。一方、システインに対しては糖転移反応を示さなかった。このO型選択性のメカニズムを明らかにするために、FlgGT1の構造モデルを精査したところ、ヒスチジンが触媒塩基として機能することが示唆された。ヒスチジンのpKaがO型選択性を規定するという仮説を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FlgGT1の発見と生化学的解析を行うことができた。結果として、FlgGT1のS型糖転移活性を検出することはできなかった。今後は、蛋白質工学的なアプローチによりFlgGT1をS型糖転移酵素に改変する。
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今後の研究の推進方策 |
ヒスチジンのpKaを変化させるために、これをヒスチジン様非典型アミノ酸に置換する。現在までに、δ-メチルヒスチジンと5-チアゾイルアラニン置換体を得ることができている。実験の過程で非典型アミノ酸の導入効率の低さが問題となった。導入効率を上げるために、アンバーサプレッション法のアミノアシルtRNA合成酵素をMjからMmへ、プラスミドをpEVOLからpDuleに変更することを検討する。
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