研究課題/領域番号 |
23K13904
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
淺井 智子 奈良女子大学, 生活環境学部, 特任助教 (50832036)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 大豆タンパク質 / 高温加圧加熱 |
研究開始時の研究の概要 |
発達障害発症報告数は10年で約4倍に急増し,増加要因はいまだ解明されていない。共働き世帯の増加で乳幼児期からレトルト食品の消費量が増加しているものの,滅菌のための高温加圧加熱処理により引き起こされる食品成分変化の検討は不十分である。これまでに高温加圧加熱処理を施した分離大豆タンパク質の幼少マウスへの長期投与が成長後の社会認知に異常を来すことを見出している。本研究では,独自の食品中成分の分析技術を用いて生体行動に影響をもたらす可能性のある高温加圧加熱処理後の分離大豆タンパク質中新規生成物の検出を目的とする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、申請者ら研究グループがオートクレーブ処理後の分離大豆タンパク質(SPI)の長期投与がマウス行動異常をもたらした結果を受けて、オートクレーブ処理がSPI中の新規生成成分をLC-MS/MSを用いて網羅的に検出することを目的としている。 タンパク質中の構成アミノ酸残基が一様に減少していることを見出していたことから、タンパク質構成アミノ酸が別のアミノ化合物に変化していることを予想し、アミノ基誘導化試薬(6-aminoquinolyl-n-hydroxysuccinimidyl carbamate;AQC)を用いて検出を試みた。その結果、塩酸加水分解物中にタンパク質構成アミノ酸とは異なる10の窒素化合物の検出がなされた。いずれも比較的分子量が大きく、リジノアラニンなど既知のアミノ酸以外の物質であった。さらに消化酵素分解物中で増加する成分の検出を試みた。消化酵素分解物中には多量のペプチド成分が存在すると考えられたため、サイズ排除クロマトグラフィーにより分画後に低分子画分のみをAQC誘導化して検出をしたところ、20以上の物質がみつかった。現在塩酸加水分解物中に検出された成分との関連性を確認している。 上記によるAQC誘導化試薬を用いたLC-MS/MS解析、さらにサイズ排除クロマトグラフィーによる分画によって、特異的微量成分の検出が可能となり、121度15分のオートクレーブ処理のみで多くの構成アミノ酸残基の変化(変性)が起こっていることが明らかとなった。これら新規に生じた成分の長期摂取が摂取後マウスの行動異常をもたらした可能性がある。今後は生体内移行も含めて、詳細な検討を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
塩酸加水分解物をアミノ基誘導化試薬により誘導化させ、LC-MS/MSを用いたプレカーサーイオンスキャンにてオートクレーブ処理により増加したアミノ化合物を網羅的に検出することが出来た。 消化酵素分解物でも同様の手法で検出することが出来、比較的当初の計画通り研究を進めることが出来ているため。
|
今後の研究の推進方策 |
塩酸加水分解物、消化酵素分解物中で新規生成が認められた窒素化合物のリストアップを行い、今後は同様の手法で行動異常が見られた動物生体内(血漿中)で検出を試みる。 また、塩酸加水分解物中に遊離のアミノ酸が増加していることが確認された。当初は減少したアミノ酸残基の窒素化合物のみに注目していたが、加圧加熱により脱アミノ化され生成した成分の動態についても注目していく予定である。
|