研究課題/領域番号 |
23K13912
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
藤井 靖之 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 研究員 (00969115)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | カテキンオリゴマー / 認知機能 / 青斑核-ノルアドレナリン作動性神経網 / 睡眠覚醒サイクル / 渋味 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでポリフェノールの機能性研究は、末梢組織をターゲットにして盛んに進められてきた。その結果、ポリフェノールを豊富に含む食品の摂取がメタボリックシンドロームのリスクを低減し、心血管系疾患を予防・改善することが示されている。近年では機能性研究の関心が中枢神経系へとシフトしつつある。本研究では、赤ワインやカカオなどに含まれ、強い渋味を呈するカテキンオリゴマーを用いて脳機能活性化成分としての有効性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、①カテキンオリゴマーによる渋味刺激の作用点が中枢神経系であるのかどうか検証し、②脳機能活性化物質として有効であるのか明らかにすることを目的としている。 ①当該年度では、オープンフィールド試験やY字迷路試験、新規物体認識試験といった各種行動試験や脳波筋電計を用いた睡眠覚醒評価を解析するプログラムをMATLAB及びPythonを用いて作成し、効率的に実験を進める環境を整えた。また、カテキンオリゴマーをマウスに投与後1時間において認知機能に深く関与していることが知られているBDNFタンパク質の発現が有意に上昇することを見出した。そこでカテキンオリゴマーをマウスに単回経口投与1または24時間後に新規物体認識試験を実施したところ、認知機能及び短期記憶が向上することを見出した。これについて、日本フードファクター学会にて筆頭、日本カテキン学会にて共著として発表した。 また、カテキンオリゴマーをマウスに単回経口投与後のマウスの行動についてオープンフィールド試験用いて観察したところ、カテキンオリゴマー投与群では覚醒が誘導・維持されることが示唆された。そしてその作用が青斑核-ノルアドレナリン作動性神経網の発火に起因することを明らかにした。 カテキンオリゴマーによる睡眠・覚醒サイクルへの影響について詳細に検討すべく、脳波筋電計を用いて観察した。その結果、覚醒作用の陽性対象として用いたカフェインを摂取したマウスは連続的な覚醒の後に睡眠覚醒サイクルに大きな乱れが生じることが観察された。一方、カテキンオリゴマー投与群では、摂取後一定の覚醒が認められるものの、精製水投与群と比較して睡眠覚醒サイクルに大きな変化はみられなかった。これについて日本ポリフェノール学会にて筆頭、日本フードファクター学会で共著として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、当該年度では認知機能及び睡眠覚醒サイクルへの影響について検証を進めることを計画していた。解析の効率化や人手を多く借りれたことから被験試薬の濃度検討がスムーズに進められ、想定よりも早く実験を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
カテキンオリゴマーによる認知機能向上作用がノルアドレナリン作動性神経網の発火に起因するのかどうか検証すべく、ノルアドレナリン合成酵素阻害剤を併用して、その作用が消失するのか確認する。また、脳波筋電計を用いてカテキンオリゴマーによる睡眠覚醒サイクルへの影響について、サンプル数を追加し、再現性を確認する。主に2年目の後半から3年目に実施する認知機能低下モデルを用いたカテキンオリゴマーの脳機能活性化成分として有効性の検証のために、モデル動物の作成など準備を進める。
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