研究課題/領域番号 |
23K13920
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京都健康安全研究センター |
研究代表者 |
中島 崇行 東京都健康安全研究センター, 食品化学部, 主任研究員 (40972253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アミノグリコシド系抗菌薬 / LC-MS/MS / 一斉分析 / 抗菌薬 / 農産食品 / 残留実態調査 |
研究開始時の研究の概要 |
ワンヘルスアプローチに基づく抗菌薬の適正使用を促す科学的根拠を提供するため、流通農産食品に残留する抗菌薬を調査する必要がある。正確かつ大規模な残留調査を行うために、検出法が確立していない抗菌薬の高感度検出法の確立および食品からの抽出法の確立を行い、流通食品についての残留調査を行う。調査結果から、食品由来の抗菌薬の摂取量推定を行い、食事に起因する細菌の薬剤耐性化機構の一端を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ワンヘルスアプローチに基づく薬剤耐性菌対策の一環として、食品中の抗菌薬の残留実態把握が求められている。なかでも、農薬として出荷される抗菌薬は、国内出荷量の約10%であり、ワンヘルスアプローチの中でも重要な位置付けであるにもかかわらず、農産食品中の残留実態の把握はほとんどされていない。その理由は、ヒト用および動物用医薬品として流通し、かつ農薬としても使用されている抗菌薬について、簡便に、かつ一斉に分析できる方法がないためである。そこで本年度は、流通農産食品中の残留実態把握を行うための分析法の整備として、測定法および前処理法の開発を行った。 対象薬剤は、農薬として使用される抗菌薬6剤;オキソリニック酸、オキシテトラサイクリンと、アミノグリコシド系薬剤のストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、カスガマイシン、バリダマイシンとした。 測定は、LC-ESI-MS/MSを用い、オキソリニック酸およびオキシテトラサイクリンについては逆相カラム、その他の薬剤についてはアミドカラムによる分離・測定を行った。また、カラムスイッチング機能を用いることで、1つの試験溶液バイアルからこれら2系統の測定が行えるため、1台の機器で6薬剤の同時測定が可能となった。 抽出は、対象薬剤の極性が非常に高いことからマキルベン緩衝液を用いた。精製用固相には、逆相と弱陽イオン交換作用を持つWCX系およびグラファイトカーボン系の精製用固相カートリッジをこの順に連結させて対象薬剤を保持させた。溶出液は1%ギ酸含有50%アセトニトリルを用い、負荷時と固相を逆転させることで、すべての薬剤を1つの試験溶液中に溶出させることができた。 分析法の性能評価は、グレープフルーツを試料とし、添加回収試験(添加濃度0.02ppm、5併行)を行った。マトリクス検量線による定量で真度74~99%、RSD 15%以下であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極性が高く、機器分析で感度の確保が困難であったアミノグリコシド系抗菌薬について、アミドカラムを用い、かつ移動相の添加剤にギ酸及び酢酸アンモニウムを用いることで、一律基準相当の濃度を検出可能になった。前処理工程では、2種類の精製用固相カートリッジの使用法を工夫することで、3系統6薬剤の同時分析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
農産食品は、食品ごとの成分が大きく異なり、そのことが分析上の課題となる。特に定量値を算出する際、食品ごとに回収率やマトリクス効果が大きく異なることが予想される。そこで次年度は、各対象薬剤について、適切な補正物質(同じ系統の薬剤で、かつ農薬としては使用されない抗菌薬など)を見出し、複数の食品で分析法の妥当性評価を行う。 また、残留実態調査用の試料を収集し、東京都内に実際に流通している野菜および果実を収集し、分析を始める予定である。
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