研究課題/領域番号 |
23K13923
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西 宏起 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (90845653)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | アミノ酸 / オルニチン / 栄養シグナル / 代謝制御 / 脂質代謝 / 栄養センシング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「アルギニンの摂取不足の情報を肝臓(もしくはその他の組織)が感知・伝達し、肝臓の脂質蓄積を誘導するメカニズムを『オルニチンシグナル』の寄与という観点から明らかにする」ことを目的としている。そのためにラットモデルとショウジョウバエモデルを併用し、それぞれの長所を生かしながら食餌中のアミノ酸量に対する動物組織の応答とその分子メカニズム、それに応じた動物組織間の情報伝達の仕組み、そしてその結果として誘導される代謝制御の仕組みを解明する。
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研究実績の概要 |
アルギニンの摂取不足の情報を肝臓やその他の臓器が感知し最終的に肝臓に脂質蓄積が誘導されるまでの分子メカニズムを、オルニチンを中心とした臓器間のコミュニケーションという観点から解明することを目的として研究を行った。予備的検討の結果から特に消化管と肝臓との相互作用が重要であることが示唆されていたことから、対照食、低アルギニン食、および低アルギニン食にオルニチンを添加した食餌をラットに7日間給与し、肝臓、小腸、門脈血を採取して消化管での遺伝子発現および門脈血中の代謝物濃度を網羅的に解析した。それらの結果を用いて群間での遺伝子発現や門脈血中代謝物濃度を比較した結果、アルギニン不足やオルニチン摂取に応答して顕著に増減する遺伝子や代謝物を複数同定した。これらの因子はアミノ酸の栄養状態を小腸で感知してその情報を肝臓に伝える情報伝達因子の有力候補と考えれられる。したがってこれらの因子に着目してアミノ酸の栄養条件に応じた肝臓脂質蓄積メカニズムへの関与を詳細に検討していくことで、脂質蓄積誘導における腸-間コミュニケーションの仕組みの解明につながることが期待される。 キイロショウジョウバエ幼虫の脂質蓄積誘導モデルを利用した栄養シグナル伝達経路の探索については、栄養条件に応じた脂質蓄積の評価系を確立し、RNAi系統を用いた遺伝学的スクリーニングを開始した。これが進み候補遺伝子が同定されれば栄養状態に応答して脂質蓄積を誘導する情報伝達経路が明らかになると期待され、上記のラットモデルで得られた知見と合わせて栄養素による脂質代謝制御機構の全体像が把握できるようになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットモデルを用いた実験に関しては、当初の予定通り小腸から肝臓への情報伝達物質の網羅的解析を行い、実際に注目に値する候補因子を複数同定することに成功した。 ショウジョウバエモデルを利用した実験についても、脂質蓄積を誘導する実験系とその評価系を確立し一部スクリーニングを開始したものの、当初の予想に反して脂質蓄積の評価系が想定外に不安定で今後の実験を継続していくことに疑問が生じ始めたため、一度スクリーニングの作業を中断し評価系の見直しと再構築を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
ラットモデルを用いた実験では、同定した候補因子をエサに混ぜる、注射するなどの方法で投与したうえでアルギニン不足やオルニチン摂取に応答した肝臓脂質蓄積を評価する。また対象因子またはその代謝酵素などの阻害剤やアゴニストなどを投与する実験も行い、アルギニン不足やオルニチン摂取に応答した肝臓脂質蓄積を評価する。 ショウジョウバエモデルを用いた実験では、現在までの進捗状況に既述したように現在脂質蓄積の評価系の見直し・再構築の作業を進めており、それを継続する。新しい実験系が確立され次第改めて遺伝学的スクリーニングを行う。
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