研究課題/領域番号 |
23K13930
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 真子 九州大学, 農学研究院, 特別研究員 (30750385)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | イネ種子貯蔵タンパク質 / グルテリン / 細胞内輸送 / 製パン性 / βグルカン / 変異体 / イネ種子 / 貯蔵タンパク質 / 変異体米 |
研究開始時の研究の概要 |
コメ(イネ胚乳)にはデンプンと共にグルテリン、グロブリン、プロラミン等のタンパク質が蓄積されている。コメタンパク質の改良は、新機能性を付与したコメの開発に欠かせない育種的課題である。 本研究では、貯蔵タンパク質、グルテリン前駆体の小胞体から貯蔵型液胞への細胞内輸送に関わる因子を同定し、同因子の細胞内作用部位及びその機能について明らかにする。更に、グルテリンに関する突然変異体米を用いて、製パン性に優れ、且つコレステロールや血糖値の上昇抑制、便通改善等の機能性食品米として育種的利用につなげる。
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研究実績の概要 |
イネ種子貯蔵タンパク質グルテリンは小胞体で前駆体型として合成され、貯蔵型液胞へ輸送・蓄積される。本研究は、グルテリンの小胞体から貯蔵型液胞への細胞内輸送に関する因子の機能解明を目的として、グルテリン前駆体を高蓄積する変異体を同定した。 当研究室では、グルテリン前駆体を高蓄積する8系統の変異体が報告されている。その内Glup5変異体はグルテリン前駆体のゴルジ体から貯蔵型液胞への輸送に関与する因子の変異であると推測されている。 Glup5変異の特性を明らかにするため、Glup5同座変異2系統を選抜した。組織学的解析により、同系統においても既知のGlup5変異系統と同様に、グルテリン抗体で標識された構造体が観察された。この結果から、Glup5変異では、グルテリン前駆体のゴルジ体から液胞への輸送が阻害され、細胞外へミスソートされたグルテリンの異常蓄積により構造体が形成されたと考察した。 グルテリンの細胞内輸送・蓄積に関与する新奇因子の同定のために、前駆体を高蓄積する新奇変異系統の選抜を行った。既報の変異体(glup変異体8系統)と未知のグルテリン前駆体を高蓄積する変異体との交雑F2種子タンパク質の電気泳動を行った結果、glup9、glup10、glup11の3系統の新奇変異体を選抜した。 製パン性に優れ且つβグルカン(食物繊維)を高蓄積する米粉を作出するために、esp2変異体(良製パン性)とβグルカンを高蓄積するglup6及びglup4の2重劣性変異体とを交配させ、交雑F1種子を得た。グルテリン前駆体及びβグルカンを高蓄積するesp2、glup6及びglup4の3重劣性変異体を選抜することで、健康増進及び製パン性に優れた米粉の開発を期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Glup5同座変異体を新たに2系統選抜し、Glup5変異全4系統の組織学的解析において、細胞外にグルテリン抗体で標識された構造体が認められた。Glup5変異では、ゴルジ体から貯蔵型液胞への細胞内輸送が阻害されていることが示唆された。全Glup5変異4系統の全ゲノム配列を読み、Glup5変異遺伝子の同定を試みている。 グルテリン前駆体の小胞体からゴルジ体への輸送に関与する因子の変異であると推測されているglup7の同座変異体の選抜も試みたが、獲得に至らなかった。 グルテリン前駆体の細胞内輸送に関与する新規因子を同定するために、既報の変異体と未知のグルテリン前駆体を高蓄積する変異体との交配F2種子のタンパク質を電気泳動した結果、新たに3系統の新奇変異体(glup9,10,11)を選抜できた。これら変異体の組織学的解析及び変異遺伝子の特定も今後進めていく。 更に、健康増進に寄与し、製パン特性の高い米粉を開発するため、製パン性に優れたesp2変異体及びβグルカンを高蓄積する変異体glup4及びglup6の2重劣性変異体とを交配し、F1種子を得た。
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今後の研究の推進方策 |
全Glup5変異4系統の全ゲノム配列から、Glup5変異遺伝子の同定を進める。 グルテリン前駆体の細胞内輸送・蓄積に関与する新奇因子の解析のため、今回見出した glup9,glup10,glup11の3系統の新奇変異体の組織学的解析を行う。また、これら3系統の変異遺伝子を同定するために、変異系統と野生型との交雑F2種子を展開し、F2葉とF3種子をサンプリングする。F3種子タンパク質を電気泳動に供試し、野生型ホモとグルテリン前駆体高蓄積型ホモとに分類し、同試料のF2の葉からDNAを抽出し、MutMap解析を行う。 グルテリン前駆体及びβグルカンを高蓄積する変異体を作製するために、esp2、glup4及びglup6の3重劣性変異体の作出を試みている。今年度交配で得られたF1種子を展開し、交雑F2種子を得る。更に交雑F2植物体(葉)からDNAを抽出し、ESP2/PDI1-1,GLUP4/Rab5a,GLUP6/GEF遺伝子に欠損があるものを、dCAPSマーカーにより選抜し、3重劣性変異体を見出す予定である。 また、製パン性の予備試験のために、野生型「台中65号」、esp2変異体、glup4及びglup6の2重劣性変異体を増産した。これらの米を製粉し、ホームベーカリーを使用して製パンし、esp2変異体パン及び2重劣性変異体(glup4/glup6)パンが野生型パンと比較して製パン性に優れているかを評価する予定である。
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