研究課題/領域番号 |
23K13932
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
江副 晃洋 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (70913945)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 六倍体コムギ / 機能分化 / 異質倍数化 / ホメオログ遺伝子 / Evolution / Polyploidization / Functionalization |
研究開始時の研究の概要 |
シングルトン遺伝子は、倍数体の各ゲノムに一つだけ存在する遺伝子である。シングルトン遺伝子は特徴的な機能を持つ傾向があるため、多くのモデル生物ではシングルトン遺伝子の機能解析が進められてきた。しかし、異質六倍体コムギのシングルトン遺伝子は、他のゲノムに存在する「シングルトン同祖遺伝子」と冗長性があるため、効率的な機能解析手法の適用が困難である。本プロジェクトでは、シングルトン同祖遺伝子の性質から冗長性を検出する予測モデルを開発し、シングルトン同祖遺伝子の機能解析を行う。
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研究実績の概要 |
六倍体のコムギは、巨大なゲノムを有しており、その遺伝的構成は複数回の異質倍数化イベントによって形成された。これにより、コムギのゲノム内には大量のホメオログ遺伝子が存在し、これらの遺伝子群において、ホメオログ遺伝子の間で異なる機能を担うことで機能分化が進んでいると考えられている。この背景を踏まえて、本研究では先行研究でモデル植物であるシロイヌナズナを用いて開発された機械学習モデルを活用し、コムギのホメオログ遺伝子群に対して機能分化の予測を行った。 さらに、得られた予測結果の正確性を検証するために、従来の手法による機能分化予測との比較分析を行った。この比較により、一部の遺伝子で従来の手法とは異なる予測結果が示され、その原因を探索している。これらの差異は、機能分化のメカニズムをより深く理解するための重要な手がかりとなると期待できる。 また、今回予測された結果から、特に環境ストレス応答に関連するホメオログ遺伝子群が機能分化していることが示唆された。塩ストレス耐性など、植物の生存に直接関連する重要な特性を持つ遺伝子群が、どのように機能分化しているかを解明することは、作物改良において極めて重要であり、こうした遺伝子群に注目して詳細な解析を行う予定である。そのために、これらの遺伝子群に対するさらなる実験的検証を行う準備を進めており、これにより機能分化の詳細なメカニズムが明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した予定の通り、モデル植物で構築した機能分化予測を、データを置き換えることでパンコムギに適用することができた。加えて、異質倍数化後に機能分化したホメオログ遺伝子を同定することができ、これらに関して追加の進化解析も行えた。
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今後の研究の推進方策 |
異質倍数化後に機能分化したホメオログ遺伝子を予測したが、従来の手法と比較したときの、その精度検証の結果には依然向上の余地があった。そこで、精度向上を目指して、機械学習パラメータの調整や、学習データの整備を再度行う予定である。さらに、従来の手法と開発した手法の差異を精査することで、従来見つけることができなかった機能分化したホメオログ遺伝子の特徴についてもより深く追求できると考えている。また、塩ストレス耐性などの環境ストレス応答に重要である遺伝子群が機能分化していることが示唆されたため、これらの実験検証を行う準備を進めている。
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